近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q11~Q15

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q11. 『日本十進分類法』と『基本件名標目表』それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒p.118、157

 『日本十進分類法』(NDC)は、日本の標準分類表として公共図書館のほとんどで使用されている分類法である。日本十進分類法(NDC)は、米国の「デユーイ十進分類法(DDC)」を基に、カッターの「展開分類法(EC)」に倣って主要な学術・研究領域を設定したもの(二村、pp.117-118)で、「十進分類法」の明快さと、「列挙型分類法」の主題の表現の的確さとを併せ持っている。

 NDCでは、「要約表」と呼ばれる「第一区分」(類)、「第二区分」(綱)、「第三区分」(要)と、実際に分類作業に使用する、その下に小数点をつけて更に細分化した第4区分以降の「細目表」と言われるものがある(田窪、p.119)。

 細目表だけでは表現しきれない資料の分類には、記号を合成し、より適切な分類記号を作り出すための「補助表」が使われ、形式や地理、海洋、言語などを表す「一般区分表」と、宗教派閥などを表す固有補助表がある。(田窪、pp.126-128)。

 一方、『基本件名標目表』(BSH)は、事前結合索引法のための統合語彙表である件名標目表の日本で代表的なもののうちの一つで、『国立国会図書館件名標目表』(NDLSH)が一館件名標目表であるのに対し、日本の標準件名標目表はBSH最新版第4版である。検索語として使用される語を「件名標目」と呼び、使用されない語は「参照語」と呼ぶが、BSHは、①件名標目と参照語などを音順に配列した「音順標目表」、②件名標目をNDCの順に配列した「分類記号順標目表」、③件名標目の階層構造を表示する「階層構造標目表」から成り、①音順標目表が本表的位置づけである。件名とは主題等を表す語で、標目とはアクセスポイントのことである。つまり、件名標目表は、もともとは主題検索が可能となるようにカード目録に件名標目を付与するために作成されたものとも言える。

 NDCとBSHの違いは、前者は分類によって資料検索を可能にする分類法で、後者は資料の主題を表す語によって検索可能にする件名法であるということである。分類法では、特定の主題の資料をとらえられるため、検索結果の精度率が高いと言える。その反面、主題を一つしか与えられないために、複合主題や混合主題の資料の検索には不利に働く。一方で、件名法では、検索結果の精度が劣る一方で、例えば「宗教と歴史」など扱っている内容の比重等によって、分類法では宗教なのか歴史なのかどちらかにしか分類できない資料を、複数の件名を扱って表現できるので、検索結果の再現度が高いと言える。

 

Q12. 分類規定の概要について述べるとともに具体例を挙げて詳しく述べなさい。⇒p.131、137

 分類結果に一貫性を持たせるために、分類作業に必要なルールや指針として必要なものが「分類規定」(分類基準)である。分類規定には、各図書館に共通する一般分類規定と、各図書館がそれぞれの耳珠上に応じて決める特殊分類規定とがあるが、前者のうち、NDCによる分類記号の決定・付与作業に関係するものは、以下となる。

  • 主題の観点…学問分野を明確にし、その観点の下にある主題の分類項目の分類記号を選択する。(例:『米:イネからご飯まで』は、流通から見た米が主題なので33)
  • 主題と形式概念の区別…主題を表現する叙述または編集・出版形式を選択する(例:『生物学事典』は生物+辞典なので33)
  • 原著作とその関連著作…特定著作の翻訳、評釈等は、一部の例外(語学学習書、翻案・脚色、特定意図による抄録)を除き、原書策と同一の分類項目に分類するのが原則となる(例:『オリエント急行殺人事件』は、原著作と同じ20世紀英文学小説の7)
  • 複数主題…一つの資料が複数の主題をそれぞれ独立して取り扱っている場合は、
    1. 中心・重点となる主題に分類(例:『胃癌の話 付:食道癌と腸癌』は胃がんが中心のため455)
    2. 中心・重点となる主題がなく、2~3つの主題を対等に扱っている場合は、最初の主題に分類(例:『うめ・いちじく・びわ』はうめ54)
    3. 中心・重点となる主題がなく、4つ以上の主題を対等に扱っている場合は、それらを含む上位の主題に分類(例:『コマツナシュンギク・レタス・ハクサイ』は葉菜類5)
  • 主題と主題の関連複数の主題を相互に関連させて扱っている場合には、その関連の種類によって分ける。
    1. 影響関係…影響を受けた主題に分類する(例:『ベトナム戦争アメリカ経済』はアメリカ経済53)
    2. 因果関係…結果の主題に分類する。(例:『海洋汚染と赤潮』は赤潮96)
    3. 概念の上下関係…上位の主題に分類する。(例:『農業と農村』は農業610)
    4. 比較対象関係…比較の尺度として使われている主題でなく、著者が説明しようとする主題、または主張している主題に分類する。(例:『日韓法制比較解説:物権法』は、韓国の物権法の特徴を日本の物権法との比較手法によって解説しているので、韓国の物権法921)
    5. 主題と材料…説明される主題に分類する(例:『教科書で見る近代日本の教育』は日本の教育1)
    6. 理論と応用…応用された方に分類する(例:『原子力の理論と応用』は理論の原子物理学ではなく、その応用である原子力工学539)
    7. 主題と目的・・・目的とした主題に分類する(例:『介護のための心理学入門』は介護福祉369)
  • 新主題・・・細目表に用意されていない主題に関する著作は、その主題と最も密接な関係があると思われる主題の分類項目、または階層の上位にある包括的クラスの分類項目に分類する

 また、特殊分類規定としては、以下のものを定めることが望ましい。

  • 資料に関する規定(別置等)
  • 分類表に関する規定
    • 付与する桁数の決定
    • 二者択一項目の選択・決定
    • 分類表中の名辞や用語の意味の限定、解釈の統一、適用範囲の明確化
    • 新主題のための分類項目の新設、不適当な分類項目の削除、不使用

 

Q13. シソーラスの概要について述べなさい。⇒p.150

 シソーラスとは、事後結合索引法のための意味論に特化した統制語彙表で、通常は特定の主題分野に特化したものである。

 1950年代のタウベによる「ユニターム・システム」という主題組織システムの開発により、事後結合索引法が確立期を迎えた。このシステムは当初は自然語を使用していたが、自然語による索引付与に限界があったので、統制語を使用するようになり、1957年以降、事後結合索引法を意識した統制語彙表は、シソーラスと呼ばれるようになり、コンピュータによる情報資源組織・情報検索で本格的に利用されるようになった。なお、シソーラスはISO25964「シソーラス及び他の語彙との相互運用性」による国際基準がある(p.176)。

 シソーラスは、基本的には索引語として使用される語「優先語」または「ディスクリプタ(記述子)」と、使用されない語「非優先語」または「非ディスクリプタ(非記述子)」を音順に並べたものである。例えば、『JST科学技術用語シソーラス』では、見出し語として優先語の「感光性高分子」が記述され、その下に、下位語(狭義語)を示す「NT 光重合型樹脂」、上位語(広義語)を示す「BT 感光材料」、関連語を示す「RT 紫外線硬化塗料」がそれぞれ並べられている。また、非優先語である「看護婦」の下には、代わりに使用すべき優先語を示すため、「USE 看護師」と表示されている。

 

Q14. 『日本十進分類法』の細目表の構造について、具体例を挙げながら説明しなさい。⇒p.123

 細目表は、以下の要素から構成されている:

  • 分類項目…以下の3つからなり、補足するために駐機・参照が付与される場合がある。
    • 分類記号と分類項目名…基本となる構成要素で、分類項目名は分類記号の概念を表す語である。(例:内科学493)
    • 分類小項目と関連分類項目…下位概念や関連概念(例:特定難病:ベーチェット病スモン病.11)
    • 英文項目名…第三次区分までの分類項目及び外国地名、人名、ぶつ植物の科目名言語名に添付される。(例:内科学 internal medicine)
  • 注記・・・分類記号を付与する際に参考となる事項を示す。アスタリスクに続いて示す。
    • 細分注記…分類項目の区分原理を指示する注記(例:8植民地行政 *統治国による地理区分)
    • 限定注記…当該分類項目に含まれる範囲の限定を指示する注記(例:770演劇 *ここには、舞台芸術を収める)
    • 包含注記…分類項目名等に表示されてはいないが、当該分類項目に包含されるものを指示する注記(7学術研究奨励 *ノーベル賞はここに収める)
    • 排除注記…関連はあるが、他の分類項目に収めるものを指示する注記(例:362社会史. 社会体制 *ここには、社会体制肢、社会構造・組織史を収め、一般社会氏は、歴史の下に収める
    • 分散注記…基本的・総合的なもの以外の特定分野に関連し応用されるものは、それぞれの主題の下に分散させることを指示する注記(例:027特殊目録 *特定主題に関するものは、各首題の下に収める)
    • 別法注記…別の分類方法を指示する注記(例:678貿易 *別法:9)
  • 参照…分類項目間の横断的関係について、一方の項目から他方の項目へ、また相互に参照を付すことによって関係を指示している。
    • 「をみよ」参照…通常選択すべき分類項目を示す(例:13図書館職員の倫理 →013.1)
    • 「をもみよ」参照…当該主題に関する別の観点の分類項目を示す(例:6犬 →:489.56)
  • 注参照…排除注記の機能を「をみよ」参照の形式で示す。また、関連する分類項目を「をもみよ」参照の形式で示す。(例:①2産業財産権 *著作権→021.2 ②431.7電気化学 *電気泳動→:433.4)

 

Q15. 所在記号と分類記号について、それぞれの特徴が分かるように概要を述べてください。⇒p.11、137

 所在記号とは、資料の所在を示す所在情報を表示するもので、請求記号とも呼ばれる。所在記号は主に、分類記号と図書記号から成る。所在記号順の排架では、基本的に資料はまず分類記号順に並べられ、次いで同じ分類記号を有するものの間に順序をつけるために図書記号順に並べられる。

 分類記号は、分類項目の基本となる構成要素であり、分類項目名は分類記号の概念を表す名辞である。日本では、ほとんどの公共図書館日本十進分類法(NDC)が使用されており、例えば、内科学の資料は、「493」に分類する。

 所在記号は、「書架分類記号」と「図書記号」および「補助記号」から構成される。

  • 書架分類記号…資料を書架上に主題に基づいて体系的に排架するために付与する。通常は一般分類規定に基づき選択された優先順序の高い書誌分類記号の一つに特殊分類規定を適用し、そのまま転用あるいは簡略化して示す。
  • 図書記号…同一分類記号の資料数が多い場合に、それらをさらにグルーピングするために付与される。受入順記号法、年代順記号法、著者記号法が代表的である。
  • 補助記号…図書記号による資料の個別化をさらに徹底させる場合に使用する。著作記号、巻次記号、版次記号、複本記号等がある。
  • 別置記号…参考図書や郷土資料などを書架分類記号以外の基準によって排架する場合は、別置記号を付与する。