近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

図書館情報技術論 科目終末テスト(回答例)Q16~Q20

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q16. 電子ジャーナルについて、そのメリットとデメリットについて少なくとも3点ずつ挙げて説明してください。(1000文字程度)⇒p.111

 電子ジャーナルとは、デジタル化された雑誌の本文をネットワークに接続されたパソコンから利用できるようにしたもので、オンラインジャーナルとも呼ばれる。

 電子ジャーナルは、①機能面、②環境面、③契約・管理面でメリットとデメリットがある。メリットとしては、以下のものがあげられる。

  • 機能面・・・速報性がある、非出版データも掲載される、論文単位で全文入手できるなど
  • 環境面・・・同時に複数論文が利用可能、電子ジャーナルでしか提供されない雑誌もある、外出先からも利用可能
  • 契約・管理面・・・管理場所が不要、法人契約のため所属の全員が利用可能、未着・欠号チェックが不要、製本作業が不要

デメリットとしては、以下のものがあげられる。

  • 機能面・・・ページをめくりながら周辺情報を入手するというブラウジングができない。
  • 環境面・・・モニターによる目の疲れがある、停電時に利用できない
  • 契約・環境面・・・契約費用が毎年増加して予算管理が困難、契約が煩雑、継続判断が困難、雑誌の提供元が安定しない。

 メリットとデメリットを比較すると、利用者への機能・環境面のメリットが大きく、電子ジャーナルの提供を一度開始すると、中止は非常に困難である。一方で、契約・管理面では、図書館側にとっては年々増加する契約費用や、契約手続き、継続判断が問題となっている。それでもメリットの大きさから、大学や研究機関、企業では冊子体から電子ジャーナルへ移行せざるを得ない状況になっている。

(624文字)

 

 

Q17. デジタルアーカイブについて説明してください。また事例を一つ上げて紹介してください。(1000文字程度)⇒p.119-127

 デジタルアーカイブとは、保存・活用のためにデジタル化された資料(通常は歴史・文化的に価値のある資料)のデータベースなどを指す和製英語であり、デジタルアーカイブ化することをデジタルアーカイビングという。電子媒体は経年劣化がなく、永久的に保存することが可能であるうえ、インターネット上で全世界に公開できるので、「知のインフラ」とも呼ばれ、各国で導入が進んでいる。

 デジタルアーカイブは、その成り立ちから、3種類に分けられる。

  • アーカイブのデジタル化・・・古文書など現物があるものをデジタル化したもの
  • 収蔵物の整理を行いながらのデジタル化・・・目録整備とデジタル化を同時に進めるもの
  • デジタル化したもののアーカイブ化・・・散在するものを集約し統合したアーカイブ

 また、デジタルアーカイブは、国・地域や文化にとって、以下の意義がある。

  • 映像・画像遺産の保全・・・国や地域の文化遺産を消滅の危機から守る
  • 文化遺産の継承・・・経年劣化が進む歴史的有形文化財や、途絶えるかもしれない無形文化財を記録し構成に継承できる。
  • 地域映像の継承・・・今日の地域の姿を記録することで、郷土学習への活用や次世代への継承を図る。
  • 地域産業の活性化・・・地場産業が共同利用できる商品やデザインをデジタルアーカイブすることで、地場産業の活性化を図る。

 また、デジタルアーカイブは、インターネット上で時間的・地理的制約を超えて資料を提供でき、様々な角度から資料の検索を行えることから、新たな活用や評価につながる。ほかにも、デジタルアーカイブによって、貴重資料を容易に提供したり、デジタル資料を加工したり組み合わせたりして新しいコンテンツを作成したりできる。

 日本では、国立国会図書館デジタルアーカイブ「PORTA」をかつて提供していた。これは、各機関のデジタルアーカイブに格納された資料を、期間横断的にワンストップで検索できるポータルサイトであった。PORTAでは、57機関の2800万件(2010年9月時点)ものデジタル資料を検索でき、国立国会図書館の資料としては、国立国会図書館デジタルコレクション、近代デジタルライブラリー、歴史的音源などのデジタルアーカイブなどが含まれる。国立国会図書館以外のものとしては、①公的機関のアーカイブ、②大学・大学図書館アーカイブ、③公共図書館アーカイブ、④民間機関のアーカイブ青空文庫など)もPORTAは対象としている。これが、2012年1月以降に国会図書館サーチに統合され、各機関のデジタルアーカイブの資料はここから検索できるようになった。

(1084文字)

 

 

Q18. 図書館の地域社会貢献という目的のために、どういう戦略がありますか?少なくとも3件挙げて説明しなさい。(1000文字程度)⇒p.121

 図書館は、デジタルアーカイブを活用して地域社会に貢献できる。デジタルアーカイブは、国・地域や文化にとって、以下の意義がある。

 

①映像・画像遺産の保全・・・国や地域の文化遺産を消滅の危機から守る

文化遺産の継承・・・経年劣化が進む歴史的有形文化財や、途絶えるかもしれない無形文化財を記録し構成に継承できる。

③地域映像の継承・・・今日の地域の姿を記録することで、郷土学習への活用や次世代への継承を図る。

④地域産業の活性化・・・地場産業が共同利用できる商品やデザインをデジタルアーカイブすることで、地場産業の活性化を図る。

 

このうち、①については、例えば地域の祭りの映像を残すことで、後世に文化遺産を残すことになる。②については、例えば○○では地域の特産である▲▲を継承するため、▲▲会が動画を記録・保存しているが、これを地域の公立図書館等で収集・公開できれば、地域の文化遺産の継承となるだろう。③については、例えば○○では□□が建設される前に、一部の地域で工事が始まる前の様子を映像や写真で残す取り組みがあった。現在散逸しているこれらの資料を集めて公開できれば、郷土学習への活用につながるだろう。また、○○では★★もデジタルアーカイブとして残すプロジェクトにも取り組んでおり、○○ゆかりの★★を紹介する動画を「★★」プロジェクトとしてデジタルアーカイブ化している。④については、例えば○○が、豊かな文化資産を最先端の情報技術で記録・保存し、世界に向けて発信するためデジタルアーカイブ・プロジェクトとしての「☆☆」を平成●~●年まで続けていた。

 このように、地域の資源を地域で活かすため、デジタルアーカイブ化が有用である。(757文字)

 

 

Q19. ICタグの問題点を記載し、そのうちどれか一つの対応策(改善策)について、ご自身の考えを提案してください。⇒p.94-98、資料p.64

 ICタグは正式にはRFIDタグと言い、大量の情報を蓄積できるほか、従来のバーコードと異なり一度に大量の読み取りが可能であるため、貸し出し・返却作業の合理化や、自動貸出の実現、蔵書点検の効率化など、様々なメリットがある。

ただし、ICタグはバーコードと比較して価格が高く、張替えが煩雑で、情報が図書館以外の第三者によって読み取られる危険性があることなどから、日本の図書館での導入は進んでいないのが現状である。

 価格や張替については、技術面の進歩による改善を期待するが、情報漏洩の危険については、使用する側の注意・工夫によってある程度改善できると考えられる。日本図書館協会も2010年に「図書館における RFID 導入のためのガイドライン」を制定しており、そのなかで、プライバシー保護についてうたっている。

 そういった状況下で、図書館でICタグの利用を進める場合は、まずは、システム利用開始を利用者に事前に知らせ、コンセンサスを得ることが肝心であろう。利用者に啓もうを進める中で、技術の進歩により、第三者によって読み取られる危険性がより少ないICタグの開発が望まれる。

 それでも、ICタグ導入館を対象とした調査では、問題はあるものの、利用者・図書館の両者がICタグの利便性の高さに恩恵を受けている旨の回答が複数見られたことから、より安価で機能の安定したICタグが提供されるようになれば、図書館での利用は爆発的に広がるであろう。

 

 

Q20. デジタルレファレンスサービスについて、旧来のレファレンスサービスとの違いを挙げて説明しなさい。⇒p.103

 近年のインターネットの普及に伴って、従来は手紙や電話、FAXで行われていた非来館者へのレファレンスサービスが、メールやオンラインチャットを活用したデジタルレファレンスサービスへと本格的に移行してきている。

 アメリカでは1980年代からメールによるレファレンスサービスが始まり、1993年には、米国議会図書館がメールによるレファレンスサービスを開始、2002年にはAsk a Librarianというチャットも含めたデジタルレファレンスサービスを提供し始めた。

 従来の対面型レファレンスサービスは、ライブラリアンが利用者に的確なレファレンスインタビューを実施することで、館内もしくは館外の適切な資料及び情報を提供する流れであった。

 しかし今、インターネットで瞬時に情報を集めることに慣れた利用者は、高度な質問をする傾向にあり、その上質問したらすぐに答えを欲しがる傾向が強くみられる。そのため、デジタルレファレンスサービスは合理的な運用が欠かせない。例えば英国図書館では、オンラインレファレンスでは1つの質問に答える時間は30分以内と定め、それ以上かかる場合は有料のリサーチサービスを紹介している。また、複数の機関による協力レファレンスも試みられている。協力レファレンスでは、質問内容により適した機関に回送される仕組みを構築したり、時差を利用して24時間サービスを提供したりしている。ただし、協力レファレンスは参加館の負担が大きいために縮小傾向もみられる。

 また近年では、SNSを活用したレファレンスもみられる。ベルギーの共同レファレンスサービスでは、facebookに投稿された質問に、ライブラリアンがページ上で答える。ほかにも、フランスでは、オンラインで質問をすると、即座にその質問が図書館のサイトで公開され、72時間以内に回答が追記される例もある。こういった形式のレファレンスサービスは、従来のレファレンスサービスとは異なり、副次的に広報力向上の側面もあり、図書館への親しみが増す傾向にあるという。

 現在の情報化社会の中で、図書館の来館者数よりも図書館のウェブサイトへの訪問者数の方が圧倒的に多いことがほとんどである。そのため、デジタルを窓口とし、従来のレファレンスサービスにとらわれずに、利用者と情報とを柔軟に結びつける役割が求められているだろう。

(975文字)