近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

図書館制度・経営論 科目終末テスト(回答例)Q16~Q20

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q16. 図書・資料の資産・非資産の区分例を挙げ、説明してください。⇒p.90-91

 資産・非資産の区分には、次のような方式がある。

  1. 資料の形態による区分…新書・文庫、ブックレットなど安価で一つのグループとして排架できるようなもの、問題集・就職本・旅行ガイドブックなど1~2年程度で新しいものと入れ替えが必要になる図書は消耗品扱いと市、それ以外は資産扱いにする方式で、図書館の環境条件をよく見て判断する必要がある。
  2. 図書の価格による区分…図書の内容で評価・区分することが大変困難であるため、公認会計士の助言等により、図書価格で資産・非資産の区分を行う方法であるが、大学図書館の会計処理の指導上、望ましいことではない。
  3. 製本の有無による区分…学術雑誌等を1年ごとなど数冊分を統合し、ハートカバーを付けて製本する場合には、図書として扱うことが学校会計基準上、認められており、大学図書館では、製本価格をもって図書価格とし、資産計上が可能になる。

 いずれの方式も、大学では資産支出額に相応して国から補助金が出ることなどから、非資産の区分は大学として重要な政策決定である。

 

Q17. レファレンスサービスの直接業務を挙げ、それぞれについて簡潔に説明してください。⇒p.103-108

レファレンスサービスの直接業務には以下のものがある。

  • 質問の処理…レファレンス業務の中枢的サービスで、最初にレファレンスインタビューによって調査範囲や政策決定をし、次に具体的調査が展開される。事実調査に関する「事項調査」と、どんな資料があるか、どこにあるかなどを調べる「資料調査」がある。図書館業務の中で最も専門職性の強い業務であり、組織化には十分な配慮が必要である。
  • 利用教育(利用指導、情報活用能力支援)…①図書館施設・設備を使いこなせるように行う指導と、②図書館資料をつかいこなせるように行う指導がある。①は図書館ツアーや端末検索研修で、特にコンピュータ操作のみに関する指導のことはコンピュータリテラシーと呼ばれ区別される。②は文献探索法やインターネット上での情報等、情報リテラシーに関する指導が中心である。また、形態として、レファレンス係への質問の際に行われる個人指導と、図書館側が能動的に企画・展開する集団指導があり、特に大学では近年集団指導の重要性が叫ばれている。今後は、高度情報化社会と生涯学習時代の観点から、館種を超えて各図書館が情報センター機能を話す必要があるため、現代社会の利用者ニーズに合致した図書館経営を考えると、利用教育は必要不可欠なサービスである。
  • 相互協力…館種を超えて図書館同士で資料、人的に協力し合うこと。
    • 相互貸借…図書館同士が自館に無い資料を相互に貸借したり、国立国会図書館から借用する。運用のための相互協力体制や環境整備が必要。
    • 相互複写…雑誌・新聞記事等の相互貸借ができない資料について行われる複写サービス。会計手続きや事務処理なども付随するのでそうした面を含んだ運営政策を練る。
    • 相互紹介…利用者が別の図書館等の資料を利用できるよう、紹介するサービス。レフェラルサービス。事前連絡する等のルールがあるので運営上配慮が必要。
    • 相互レファレンス…時間で処理できない質問をレファレンスネットワークを通じて協力し合い、解決する。特に人的ネットワークの構築が大切なので、研修会等に職員を参加させるなど、運営政策が必要。
  • 情報検索…電子資料の検索、外部DBの検索、インターネット検索などコンピュータ機器を介して情報を検索すること。周辺環境整備や人材育成が不可欠。
  • カレントアウェアネスサービス…利用者または特定のグループに対して特定主題に関するカレント資料の情報を継続的に提供するもの。
    • コンテンツサービス…大学や研究機関から出される紀要や新着雑誌の月々の目次や随時出される総合目次をコピーして利用者に提供するもの。設置場所、担当、メンテナンス面等の運営政策が必要で、電子情報からの提供もある。
    • SDIサービス…利用者からあらかじめ登録しておいてもらった主題テーマや特定資料を適宜、迅速に資料提供するもの。
    • カレント資料サービス…利用者が速報として望むカレントなテーマを選択して雑誌記事や図書等を集めて一覧(文献目録)にしたもの。パスファインダーのうち時事問題等トピックス性の高いものもここに含まれる。
  • 書誌提供サービス…レファレンスツールとして不足している書誌がある場合に独自に作成し、利用者に便宜を図るサービスで、内容は雑誌記事文献目録、参考図書目録、特定テーマに基づく文献目録等多岐に渡り形態も印刷物だったり簡易製本だったり様々になる。パスファインダーも含まれる。
  • 読書相談…読書法についての相談サービスで、相当な専門知識が必要なため、各館員の専門主題知識への関心と研修体制を組織化の中に組み込む必要がある。また、日常業務でも選書や主題別書架管理等、自己研修環境を作る党の工夫が運営政策上必要である。
  • 情報・紹介サービス…大学図書館専門図書館や、博物館、法律相談所など図書館類縁機関や専門機関を紹介するもので、案内資料等を基に紹介されるため、資料整備が不可欠であり、またコンピュータ検索も可能のため、アクセス先情報を整理しておく必要がある。

 

Q18. 図書館の棚卸とは何か、またそのメリットについて記してください。

 棚卸は学校会計上義務付けられているもので、大学では会計監査の為に行われる棚卸業務を指す。利用者の利便と蔵書データの信頼性確保のためにも、年一回の棚卸による資料把握は必要である。メリットは以下の通りである。

  1. 不明図書を把握し、必要な図書・資料を補充できる。
  2. 資料の破損や目録データ・図書ラベルの誤りを発見し、修正できる。
  3. 不明図書の傾向を知り、対策を練る材料にできる。
  4. 不明図書か発生している期間での利用者からの質問に対して正確な現状を伝えることができ、信頼関係を維持できる。
  5. 不明図書の明確化によって予算措置が取られやすくなる。
  6. 徹底した書架整備によって、図書・資料がきれいに整理・整頓され、後方に倒れているような図書も発見できる。

 棚卸を実施する際には、管理思考が優先し、長期間の閉館など利用者中心思考を逸脱することがないように、利用者サービスとのバランス感覚が必要になる。

 

Q19. 研修の種類を挙げ、それぞれについて簡潔に説明してください。⇒p.143-150

 研修を能力開発という視点から分類すると、次の3つがある。

  1. 自己啓発研修…自己の意欲に基づく自発的な研修で、能力開発の原点とか教育の原点である。重要な部分であり、専門職性を高めることを考えれば真剣に取り組むべきで、外部研修への依存をなくし、厳しい社会変化に迅速に対応することを考え、自分たちでまず行うという基本姿勢に切り替える必要がある。具体的には、大学図書館では大学内の大学院における授業の聴講・履修や単位認定・学位認定が館員の専門性や業務処理能力を大いに高め、利用者サービスの質の向上を図ることにつながるため、経営政策の一環として考える必要がある。公共図書館では、高学歴者層への図書館サービスを適切に展開することができるようになり、図書か人の専門性を高め、社会に認知されることにつながる。
  2. 集合研修…一会場に多くの人を集め、職務に直接関係する特定テーマの下で研修する方法で、図書館の外部研修もほとんどがこの形である。内部研修では、講師招聘による目的別の研修会や講習会、講演会、公開講座等がある。
  3. OJT…業務の中において上司が個々の館員に対して職務の向上を目的として常日頃から指導するもの。業務がルーチン化されている定型的業務と、されていない否定形的業務があり、後者を扱うことを戦略的OJTと呼ぶ。内部や外部環境の変化に気づくことができる「課題形成」や解決策を模索・決定・実施し、結果を評価・反省し、再度計画を立てる「課題解決形成」を実行する変化適応能力を育成できるため、否定形的業務のほうが育成効果が高いと言われる。変化適応能力を育成するには、目的意識や目的に対する一体感という「使命感」、先入観にとらわれ事柄をありのままに認識し適切に解釈する「現実を正しく見る目」、意見の食い違い、対立、矛盾などコンフリクトを想像のばねに変えられる「創造性」の3つがポイントになる。OJTでは、自主性、能力開発(個性発揮の欲求)、成長性、責任制、貢献性という人間の高次な基本欲求に結びつくよう配慮する。

 また、個々人の能力や適性を把握するため「ヒューマンアセスメント研修」もある。

  • ヒューマンアセスメント研修
    • 知識研修…資料の知識、利用者ニーズ、会計実務、レファレンス技術等の知識などを学ぶ実務知識と、出版界の仕組み、図書館の法規等、知識を吸収することで教養を高め、実務が適切・効果的に行われることを目的とした基礎知識研修がある。
    • 技能研修…パソコン操作等の身体的技能研修と、分析力、企画力等の職務遂行能力を養う知的技能研修がある。
    • 態度研修…仕事に対する意欲、責任感、協調性などを喚起する研修。
    • 問題解決力研修…問題点を発見したり見つけたりして諸問題を解決する能力研修で、総合的能力を養うもの。既成概念を取り払い、問題を全く違った角度から考えたりする発想法研修もここに含まれる。

 図書館の研修は外部に依存してきた経験があり、目的別研修に至っていないなど立ち遅れているので、専門性を高めるうえで非常に重要な課題となっている。

 

Q20. 大学図書館を例に、図書の選定基準の項目を挙げ、説明してください。⇒p.96-97

 大学図書館の図書の選定基準の項目には、以下のものが挙げられる。

  1. カリキュラム関連資料…指定図書、推薦図書、力を入れるべき主題範囲等
  2. 自館の特色を表すもの…特殊コレクション(個人文庫など)、特色あるコレクション(社史、古地図など)、貴重書等
  3. 公共性・中立性を表すもの…思想的範囲、性等表現に関する範囲
  4. 資料形態に関するもの…文庫・新書の扱い、漫画、パンフレットの扱い等
  5. 1冊当たりの金額に関するもの…低価格本の扱い、高額本の扱い
  6. 非売品図書の収集範囲に関するもの…非売品の官公庁資料、民間企業資料の収集範囲の扱い
  7. 資料費の配分に関すること…主題別配分、研究図書配分、視聴覚資料配分、電子資料配分、学生用図書配分、リクエスト図書配分、予算費目別配分等