近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

図書館制度・経営論 科目終末テスト(回答例)Q11~Q15

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q11. 図書館の組織(5点)を挙げ、それぞれについて簡潔に説明してください。⇒p.72-75

 以下に5つの図書館の組織を挙げるが、どの組織形態を採用しても、利用者中心思考を忘れずに各組織形態を柔軟かつ効果的に採用することが必要である。

 

(1)職能別組織(機能別組織)

 知的文化財の収集・組織・保管・提供という図書館の機能の側面から部門化した組織で、総務部、収書部、整理部、奉仕部など図書資料の流れに沿って分けられる。日本の図書館組織としては最も多く、長所としては管理コストの低さ、人材が少なくて済む、管理統制が比較的容易なことが挙げられる一方、専門家が育成しにくい、深い利用者サービスができないなどの短所もある。

(2) 主題別組織

 資料の形態を問わずに自然科学、人文科学、郷土資料など主題別に部門化し、それぞれの下に収書係、サービス係など職能別組織を作る。

 管理経費が多くかかるという短所がある一方、図書館員が特定の専門主題に関してキャリアを蓄積できるため主題専門家の育成が可能で、利用者側も専門的サービスを受けられるという大きな長所があることから、導入の効果が非常に高い。「主題別閲覧制度」と呼ばれる閲覧部門に主題別を一部取り入れた制度を郷土資料室などで採用している公共図書館もあり、どのような規模の図書館においても一定の主題別組織を導入することは利用者にとってメリットが大きい。

(3)利用者別組織

 利用者の別によって組織化を行うもので、大学図書館ならば、学部学生・大学院・研究者図書館がある。利用者別組織を閲覧制度に導入した場合には、大学図書館ならば学部学生・大学院・教員閲覧室に、公共図書館ならば成人・児童・障がい者閲覧室等になる。

(4)資料別組織

 資料の形態別に組織化を図るもので、雑誌・新聞部門、逐次刊行物部門、参考図書部門、視聴覚資料部門、貴重書・古典籍部門、特殊資料部門、地方資料部門、言語資料部門、地域研究資料部門、マイクロ資料部門、電子資料部門などに分ける。利用者別組織同様に、閲覧制度のみに資料別組織を導入する図書館もある。

(5)混合組織

 前述の4つの組織を複合的に組み合わせた組織で、日本の図書館では混合組織を選択している場合が多い。基本的には機能別組織を採用しながらも、閲覧制度には主題者別、利用者別または資料別組織を導入する場合や、雑誌・新聞や視聴覚資料などについて独立した係がいて、各係が資料の選定から提供までを一元的に処理する資料別組織を一部導入している場合がある。

 

Q12. 主題別組織の長所と短所を挙げ、記してください。⇒Q11の(2)と同じ

 

Q13. 費目区分の種類を挙げ、それぞれについて記してください。⇒p.91-92

 図書館資料は資産・非資産に区分するが、さらに固定資産・備品・消耗品等の費目別に区分する必要がある。

  1. 固定資産と消耗品に区分…図書を固定資産(永年保存)と非資産(消耗品)の2区分に分ける方式で、大学図書館で多くみられる。
  2. 固定資産と備品、消耗品に区分…開架図書を備品、文庫・新書、問題集等安価なものや1年程度で使用に耐えなくなるような図書を消耗品と市、書庫に排架する高価な図書や研究書を固定資産として扱う方式で、大学図書館で見られる。開架図書を備品(流動資産)として扱うことで、破損した資料等を比較的容易に廃棄できるという利点がある。
  3. 備品と消耗品…図書の一定価格を境に備品と消耗品の二つに区分する方式で、公共図書館に多く見られる。一定価格の境は自治体・図書館によって異なる。
  4. 固定資産のみ…図書のすべてを固定資産(永年保存)とする方式で、大学図書館で見られる。大学では固定資産については「基本金組み入れ金」として処理されるので、資産の過大評価をもたらすという欠点がある。
  5. 備品のみ…資料の価格に関係なくすべての資料を備品(流動資産)とする方式で、公立図書館にみられる。備品耐用年数規定がある場合にはこの期間を過ぎた図書について容易に廃棄できるという利点がある。
  6. 消耗品のみ…すべての資料を消耗品として扱う方式で、米国では「図書はすべて消耗するもの」という考え方があるが日本では図書は大切な資産という考えが強いため、主として企業資料室や外国資本の団体資料室でみられる。消耗品は資産勘定されたものより会計処理や除去等の関連業務が迅速に行える場合が多いので、業務の効率化につながる。

 費目の区分の方式によって付随する業務が異なってくることを認識し、形成政策を考える必要があり、また消耗品だからという理由で蔵書点検や資料のデータベース化をしないという理由にはならないので注意が必要である。

 

Q14. 図書館に関する規定の整備について記してください。⇒p.77

 組織を有効に動かすためには内部業務の制度化が必要であり、以下の3つを基本とする図書館に関する規定整備は図書館活動を行う際の基本的要件である。

  1. 図書館利用規則…貸出・閲覧・督促・相互協力・利用上の注意・レファレンスサービス・希望図書等、利用に関することを明文化した規則
  2. 図書館管理規程…図書資料の管理面に関することを明文化したもの
  3. 委員会規程…図書館運営を行うために必要な会議体に関する規程(図書館運営委員会規程など)

 これら3つの基本規定を整備し、必要に応じて下部規定を制定する。規定制定時には、親機関との整合性がとれるよう、関係性や対応性を確認し、必要に応じて親機関の担当部署などと調整し、正式な検討機関に提案し、審議してもらう必要がある。

 また、図書館業務の範囲を定め、仕事の基本となる「事務分掌規程」や、業務を遂行するための手引きとなる「スタッフマニュアル」の作成も重要である。

 

Q15. 整理部門の組織化について説明してください。⇒p.99-101

整理部門は、図書・資料の分類、目録、葬儀業務を中心に行う。

  1. 分類業務…受け入れされた図書に日本十進分類法(NDC)等による主題分類を付すもので、通常、図書ラベルの上の段に表示される。近年のコンピュータの発達により、分類検索よりもキーワード検索が中心になってきたため、利用者からみれば図書の所在場所を知らせるアドレス的役割が強くなってきている。
  2. 目録…著者、書名、出版社、出版地、出版年、叢書注記、全集類の内容記載等の書誌事項を記載したものを指し、近年はコンピュータ作成による書誌データ形式がほとんどである。
  3. 装備…図書の背に図書ラベルを張ったり、破損しやすい図書にフィルムをかける作業等を言う。帯等についている著者紹介などを切り取り、本の裏表紙等へ張り付ける作業もある。

 近年は、図書館のコンピュータ化が進み、NIIや国立国会図書館のJP MARCなど外部データベースを活用して分類・目録作業を行う図書館も多い。また、図書館流通センター(TRC)等の専門的なカタロガーがいる会社に外部委託することも多く、その場合は整理部門自体を置く必要がなくなり、連絡窓口担当者のみを置くことも可能である。しかし、図書館利用者に不便をかけないことが図書館政策決定の本質であるので、より良質な書誌データを作成するためにも、利用者の特色や予算規模等の図書館環境を十分に検討したうえでどのような形態で整理業務を行うのかを慎重に検討する必要がある。