近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q1~Q5

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<回答例>

Q1. 情報資源組織の意義を他のサービスとの関係を示しながら論じなさい。⇒p.2

 情報資源組織は、利用者や図書館員が求める資料を検索可能にするという点で、図書館にとって根本的、本質的なものと言える。

 閲覧や貸し出し、レファレンスサービスなどは、利用者に対する直接的なサービスとみなされ、「利用者サービス」「直接サービス」と呼ばれる一方、情報資源組織は、技術的・間接的なサービスとみなされ、「テクニカル・サービス」や「間接サービス」と呼ばれる。テクニカル・サービスにはほかに、選書や受入れ・廃棄などコレクションの構築維持管理に関する業務も含まれる。

 情報化が進む近年、自身の求める情報を探し出すことは益々困難になっている。それを解決するために、図書館では、各種利用者サービスを提供し、利用者の「情報検索」や「資料検索」を容易にするよう努力している。

 しかし、利用者サービスを提供するには、まずは情報に秩序や構造を与えて検索できるようにする仕組みを構築することが不可欠であり、それが「情報資源組織」なのである。

 

Q2. 未知資料検索の検索に用いる評価指標について概要を述べなさい。⇒p.4、21、100、106

 資料が特定されていないときに行われる検索を「未知資料検索」と言い、大別すると①ある著者の何らかの資料の検索、②主題検索の2つに分けられ、その評価は、①再現率、②精度という点からなされることが多い。

 未知資料検索は、「特定の著者の著作」や「特定の主題の資料」等について、網羅的に、または代表的なものを調べる検索であるため、検索結果は、利用者の求める条件に合う資料(適合資料)の「集合」になる。特定の著者の資料について検索する場合は、「著者」がアクセスポイントとして採用され、資料の中心的な内容である特定の主題について検索する場合は、「主題」がアクセスポイントとして採用され、分類や、主題を表す語(件名)によって検索する。

 検索目的がどの程度の有効性を持って達成されたかの度合いを測る「検索パフォーマンス」は、指標として、①適合性、②応答時間、③費用があるが、情報検索システムのレベル等によって決定される②③を除き、未知資料検索については、適合性の①再現率、②精度(適合率)により評価される。また、①検索して得た適合資料の潜在的に存在するものも含めたすべての適合資料に対する割合が高い、つまり資料の漏れが少ない「高再現率」と、②検索した資料全体に対する検索して得た適合資料の割合が高い、つまりノイズが少ない「高精度」は逆方向に動くと言われているが、検索する際の検索語を適切に選ぶことにより、高評価の検索ができるようになる。

 なお、適合資料をどれだけ適切に集められたか、という意味で、目録において未知資料検索に対応した機能を「集中機能」と呼ぶが、多くの目録規則は、「著者」と「主題」のアクセスポイントから検索条件に合う資料を網羅的に一覧できるように設計されている。

 

Q3. 主題とは何か、情報資源組織の中ではどういった役割を担っているのか述べなさい。⇒p.4、6、96、100

 「主題」とは、資料の中心的な内容であり、図書館では、①分類や、②主題を表す語(件名)によって主題検索が可能な形で情報資源組織が行われてきた。

 現在の情報化社会では、「ある特定の主題について情報を得たい」という主題検索欲求が多様化・多量化しており、主題検索を実現するために「主題組織法」という情報資源組織の方法がますます重要になっている。

 例えば、一般的には、「書架分類法」は主題検索を可能にするためのものであり、図書館の資料は、主題に基づいて資料を「分類順(所在記号順)」に排架されている。利用者は、主題が階層的に並んでいる書架をブラウジングすることによって、比較的容易に目的の主題の資料群にたどり着き、また思いがけず別の資料に興味を持つこともできる。

 また、書架分類法の弱点である、「資料そのものが目に入らない場合は検索できない」ことや、「複数の主題の資料を1分野にしか排架できない」ことなどをカバーするため、様々なアクセスポイントを必要な数だけ付与できる「目録法」においても、多くの目録規則は、「著者」と「主題」のアクセスポイントから検索条件に合う資料を網羅的に一覧できるように設計されており、特に未知資料の検索においては、著者と並んで主題の検索機能が非常によく使われている。

 

Q4. 索引と目録それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒目録:p.7、16 / 索引:p.12、180

 索引は、図書館の所蔵資料かどうかにとらわれない情報資源組織の成果物であり、雑誌や新聞に掲載された記事一つ一つを検索可能にする「雑誌記事索引」や「新聞記事索引」がそれにあたる。索引では、記事一つ一つのレベルで書誌情報が組織され、データベース化もしくは冊子化されている。また、狭義では、書籍の巻末につけられている索引にゃ記事検索ツールのレコードに付与される索引語などを示し、「主題検索」とも呼ばれる。

 目録は、図書館の所蔵資料情報を対象とし、ある資料を検索するのに必要とされるすべてのアクセスポイント(タイトル、著者、主題)を必要な数だけ付与できるものである。資料そのものでなく資料情報を対象にするので、資料が閲覧中でも貸し出し中でも、開架でも閉架でも関係なく、図書館が所蔵するすべての資料が目録によって検索可能となる。

目録は、「記述」「アクセスポイント」「所在記号」を主要要素とする情報の集積体と言える。このうち前2者をまとめて「書誌情報」と言い、3者をまとめて「書誌的記録」と呼ぶ。

 広義の索引(記事・新聞索引)と目録との違いは、索引は雑誌や新聞の中の記事一つ一つを探し出せるもので、目録は、図書や雑誌などを一冊もしくは一種などの単位で探し出せるものである。

 

Q5. 書誌単位と物理単位の違いについて、1冊の図書を想定して述べなさい。⇒p.43

 日本では、『日本目録規則1987年版』(NCR1987)が現行標準目録規則であり、前版である「新版予備版」(1977)が物理単位を記述対象としていたのを改め、書誌単位を記述対象としている。

 NCR1987では、「全体とそれを構成する部分という上位と下位の階層構造」を「書誌階層」と呼ぶ。書誌階層はいくつかの「書誌レベル」からなり、最も基礎的な基礎書誌レベルとその上位・下位レベルを設定できるとされている。

 例えば、叢書「講座日本語と日本語教育」を例にすると、『講座日本語と日本語教育』のシリーズそのものに対する記述が集合書誌単位(集合レベル)で、そのうち13~14巻からなる『日本語教育教授法』が単行書誌単位(単行レベル)である。そのうち、上巻である13巻が物理単位となる。「新版予備版」(1977)では、複数から成るものは常に一冊ずつ記述対象にしていたので、物理単位である13巻(上巻)を記述対象としていたのに対し、NCR1987では、固有のタイトルが与えられた範囲である13~14巻を「書誌単位」とみなしており、実際に記述を作成する場合には、単行レベルを基礎として作成を行うこととなる。