情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q16~Q20
※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです
※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です
※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります
<設問>
Q16. OPAC(Web OPAC)とカード目録を比較し、それぞれのメリットとデメリットについて論じなさい。⇒p.19、22
カード目録の構成要素は、①タイトルほか対象資料の書誌情報を記した「書誌記述」、②タイトル、著者、主題など検索用の見出しである「標目」、③標目を付して各記入を作っていく作業を目録作業者に指示するための「標目指示」、④排架場所を示す「所在記号」から成り、標目ごとにカードを作成する。
一方、OPACでは、一つのレコードにすべての標目を入力できるので、標目と標目指示の区別がない。
カード目録では、アクセスポイントとすべき標目ごとにカードを作成する必要があるため、コストや手間の関係から、柔軟な検索に対応するには限界があるが、OPACではより多様なアクセスポイントを設定できる
その一方で、カード目録は、ひとつの資料に対して「タイトル」「著者」「主題」などカードが複数枚存在するので、OPACがインターネット対応しておらず、専用機が必要なOPACが図書館に1台しかない場合、カード目録ならば一度に複数人が利用できるという利点もある。
Q17. MARCの概要について述べなさい。⇒p.70、174
目録の情報を一定のフォーマットでコンピュータ処理できるように記録している目録データを「機械可読目録(MARC)」と呼ぶ。
米国では、納本図書館である議会図書館が1960年代から、「MARC」の頒布を行っている。日本では、国立国会図書館がその役割を担うが、実際に多くの公共図書館で活用されているのは、民間企業が作成したMARCである。これは、日本ではCIPと呼ばれる、出版物に書誌情報が刷り込まれる制度が無く、目録作成作業が遅れることにも起因する。
MARCは、ひとつの組織や機関が一括して目録作業を行う「集中目録作業」に使用される。集中目録作業は効率的で書誌情報の品質を保つことができる一方、図書の刊行とMARCへの収録とに時間的なずれが生じる問題点がある。
MARCは図書館独自のフォーマットで、識別子をマークアップし、タグによって書誌データを表す。MARCフォーマットは基本的には各種MARCで異なっているが、国際図書館連盟(IFLA)が1977年に定めた「UNIMARC」フォーマットは国際的な利用を想定して定められており、実際にいくつかの国で採用されている。
また、目録データそのものだけでなく、典拠データを交換するために、典拠レコードをコンピュータで扱うためのフォーマットも必要であり、米国議会図書館では、「MARC21 for Authority Record」というフォーマットに基づいて典拠データが作成されている。
Q18. ダブリン・コアの基本エレメントについて、具体例を挙げて説明しなさい。⇒p.80
「データについてのデータ」をメタデータと呼び、メタデータのエレメントやその定義、書き方等が標準化された規定をメタデータ・スキーマと呼ぶ。その代表例が、「ダブリン・コア・メタデータ・エレメント集合」(メタデータ)であり、15の基本エレメントがある。
- タイトル…情報資源の名前
- 著者あるいは作成者…情報資源の内容に関して責任を持つ人または組織
- 主題及びキーワード…情報資源の内容的なトピック
- 内容記述…情報資源の内容についての説明
- 公開者(出版者)…情報資源を現在の形態にした機関等
- 寄与者…著者以外の作成にかかわった人
- 日付…現在の形で利用できるようになった日付
- 資源タイプ…HP、小説、辞書など情報資源の形式
- 形式…情報資源のデータ形式
- 資源識別子…情報資源を一意に識別するための番号
- 出所…情報資源の出所
- 言語…使用言語
- 関係…ほかの情報資源との関連
- 対象範囲…情報資源の地理的または時間的特性
- 権利管理…著作権や利用条件に関する記述
Q19. 『日本全国書誌』の概要と問題点について述べなさい。⇒p..70、170、172
国内で出版物等を刊行する際に国立図書館への納入を出版社に義務付ける「法定納本制度」は多くの国で実施され、この制度によって収集された資料を対象とする定期的な「全国書誌」が作成されており、日本では、国立国会図書館の『日本全国書誌』がそれにあたる。
国立国会図書館は、1948年に『納本月報』の刊行を開始し、これが『国内出版物目録』、『納本週報』と変遷し、1981年からは『日本全国書誌』となった。週刊の冊子体であった『日本全国書誌』は、別途MARCフォーマットでのデータ一括頒布が行われており、また2007年には冊子体での刊行は停止され、週次更新のホームページ版となり、2012年からは、NDL-OPACの機能の一部として、日次更新される情報をMARCフォーマットを含むいくつかのデータ形式でダウンロードする形で「全国書誌データ提供」としてサービスが行われている。
しかし、実際に多くの公共図書館で活用されているのは、民間企業が作成したMARCである。これは、日本ではCIPと呼ばれる、出版物に書誌情報が刷り込まれる制度が無く、図書の刊行とMARCへの収録とに時間的なずれが生じるため、目録作成作業が遅れることにも起因する。
この問題を改善するために、国立国会図書館では、2010年以降、図書受け入れ後すぐに簡略な書誌データを作成・提供し、後日詳細な完成データに置換できるようサービスを行っている。
Q20. IFLAの書誌コントロール活動について述べなさい。⇒p.171
「書誌コントロール」とは、資料を識別同定し、記録して、利用可能な状態を作り出すための手法の総称で、書誌調整とも呼ばれる。各図書館の情報資源組織処理から始まって、国家や国際的な規模で、標準的な書誌的記録を作成し、共同利用するための仕組みに至るまでの全体を示す。
国際図書館連盟(IFLA)は、1927年に発足し、まずは目録法の標準化を企図した。その活動は、1961年の標目の選定と形式を扱う「パリ原則」や、1969年から制定作業が開始された「国際標準書誌記述(ISBD)」に結びつき、1974年にはコアプログラム「国際書誌コントロール(UBC)」が発足し、ISBDの制定や国際標準のMARCフォーマットである「UNIMARC」フォーマットの開発がすすめられた。
1990年代以降には、ISBDやUNIMARCの維持・改訂活動に加えて、1997年に目録規則の見直しの基礎となる、書誌情報の政界の概念モデルを示して書誌レコードにはどのようなデータが必要かという要件を考察した『書誌レコードの機能要件(FRBR)』という報告書を発表したほか、2009年には、パリ原則に代わって、各国、各言語圏における目録規則整備の指針となることが期待される『国際目録原則覚書』を策定するなど、従来の目録法の枠組みを見直す活動も活発に行っている。
近年では、IFLAの図書館サービス部会の傘下に「書誌」「目録」「分類・索引」等の分科会を置き、書誌コントロールに関わる諸活動を担当している。