近畿大学通信で司書資格を取得した記録

近畿大学の通信課程で図書館司書資格を取得しました(2018年度)

図書・図書館史 科目終末テスト(回答例)Q16~Q20

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q16. 図書館史を学んで、よかったと思われる点を述べてください。

 図書館史を学んだことにより、今日、我々が日本で当たり前に受けられる図書館サービスは、先覚者たちの努力や工夫の結果であることが実感できた。

 近世、江戸時代の封建制度が崩壊し、明治維新の近代化を目指す大改革の中で、日本は欧米に使節を送り、近代事情を日本へ導入した。その中で、1861年に遣欧使節の一員として海外訪問した福沢諭吉は、1869年に出版した『西洋事情』の中で、欧米の図書館を「ビブリオテーキ」として言及し、西洋の図書館や納本制度を始めて日本に紹介した。また、市川清流も同じ遣欧使節随行し、日本にも図書館を作るべきだという書籍院建設の建白書を文部大輔に上申した。

 ほかにも、文部大輔の田中不二麻呂は、1871年岩倉具視の欧米視察に随行して各国の図書館を視察し、『特命全権大使米欧回覧実記』の中で報告し、文部省年報に「公立書籍館の設置を要す」という論文を発表して啓もう活動を行った。

 1892年には、「図書館に関する学術修行」として1年半にわたる米英留学の後、東京図書館長、のち初代の帝国図書館長として活躍した田中稲城などにより、日本文庫協会が発足した。日本文庫協会は、1908年に日本図書館協会に改称し、現在に至っている。

 1945年の終戦により、日本の図書館はアメリカの指導の下に再出発し、1948年に「国立国会図書館法」が制定され、アメリカ議会図書館を手本として、納本制度の実施や日本全国書誌など各種書士の作成、国会議員への調査・研究支援、一般国民へのサービス、対図書館サービス、図書館協力などが国会図書館の任務として規定された。1950年には「図書館法」が制定され、公共図書館の設置及び運営に関しての事項を定め、司書の職務規定や資格、図書館奉仕など新しい図書館の在り方を示すものとして注目された。

 しかし、一般市民の現実生活は以前厳しく、理想的図書館とはかけ離れたままであった。

 このような図書館の貧しさを憂えた図書館員たちにより、『中小都市における公共図書館の運営』(中小レポート)が1963年に発表され、図書館は転換期を迎えた。1970年には、中小レポートの理念を基にした実践編として日本図書館協会が『市民の図書館』を刊行して資料提供を第一の原則とするなど、今日の貸し出しサービスが当たり前の現状を作った。

 1954年には、全国図書館大会において、「図書館の自由に関する宣言」が採択された。1979年に改訂版が承認されたこの宣言は、図書館の使命は市民の知る権利・自由を保障していく機関であることを示している。ここでは、図書館は、①資料収集の自由、②資料提供の自由、③利用者の秘密の厳守、④検閲に反対を確認し、これらの図書館の自由が侵害されるときは図書館は団結して自由を守ることがうたわれている。

 また、1980年には日本図書館協会総会が「図書館人の倫理綱領」を決議、自由宣言と表裏一体にある、図書館員の「利用者を差別しない」「秘密を洩らさない」など自主的規範として掲げた。

 2001年には、文部科学省が「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を告示して、レファレンスサービスの充実など情報サービスに関する援助を挙げた。

 図書館の発展は、社会の発展と密接に結びついている。かつては一部の特権階級向けのであった図書館は、今やだれでも無料で使える知的自由の要である公共図書館として発展している。また、粘土板から始まった図書館資料も、現在はデジタル化が急速に進んでおり、物体を伴わない電子資料の提供が不可欠になっている。

 このように、今日の図書館サービスがあるのは、先人たちの努力や工夫によるものなのである。

 

 

Q17. 日本の図書館史に登場した人物を何人か挙げて、彼らの業績を述べてください。⇒Q14と同じ

 

 

Q18. 図書館史を学んで感じたことを自由に述べてください。

 図書館史を学んだことにより、今日、我々が日本で当たり前に受けられる図書館サービスは、先覚者たちの努力や工夫の結果であることが実感できた。

 近世、江戸時代の封建制度が崩壊し、明治維新の近代化を目指す大改革の中で、日本は欧米に使節を送り、近代事情を日本へ導入した。その中で、1861年に遣欧使節の一員として海外訪問した福沢諭吉は、1869年に出版した『西洋事情』の中で、欧米の図書館を「ビブリオテーキ」として言及し、西洋の図書館や納本制度を始めて日本に紹介した。また、市川清流も同じ遣欧使節随行し、日本にも図書館を作るべきだという書籍院建設の建白書を文部大輔に上申した。

 ほかにも、文部大輔の田中不二麻呂は、1871年岩倉具視の欧米視察に随行して各国の図書館を視察し、『特命全権大使米欧回覧実記』の中で報告し、文部省年報に「公立書籍館の設置を要す」という論文を発表して啓もう活動を行った。

 1892年には、「図書館に関する学術修行」として1年半にわたる米英留学の後、東京図書館長、のち初代の帝国図書館長として活躍した田中稲城などにより、日本文庫協会が発足した。日本文庫協会は、1908年に日本図書館協会に改称し、現在に至っている。

 1945年の終戦により、日本の図書館はアメリカの指導の下に再出発し、1948年に「国立国会図書館法」が制定され、アメリカ議会図書館を手本として、納本制度の実施や日本全国書誌など各種書士の作成、国会議員への調査・研究支援、一般国民へのサービス、対図書館サービス、図書館協力などが国会図書館の任務として規定された。1950年には「図書館法」が制定され、公共図書館の設置及び運営に関しての事項を定め、司書の職務規定や資格、図書館奉仕など新しい図書館の在り方を示すものとして注目された。

 しかし、一般市民の現実生活は以前厳しく、理想的図書館とはかけ離れたままであった。

 このような図書館の貧しさを憂えた図書館員たちにより、『中小都市における公共図書館の運営』(中小レポート)が1963年に発表され、図書館は転換期を迎えた。1970年には、中小レポートの理念を基にした実践編として日本図書館協会が『市民の図書館』を刊行して資料提供を第一の原則とするなど、今日の貸し出しサービスが当たり前の現状を作った。

 1954年には、全国図書館大会において、「図書館の自由に関する宣言」が採択された。1979年に改訂版が承認されたこの宣言は、図書館の使命は市民の知る権利・自由を保障していく機関であることを示している。ここでは、図書館は、①資料収集の自由、②資料提供の自由、③利用者の秘密の厳守、④検閲に反対を確認し、これらの図書館の自由が侵害されるときは図書館は団結して自由を守ることがうたわれている。

 また、1980年には日本図書館協会総会が「図書館人の倫理綱領」を決議、自由宣言と表裏一体にある、図書館員の「利用者を差別しない」「秘密を洩らさない」など自主的規範として掲げた。

 2001年には、文部科学省が「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を告示して、レファレンスサービの充実など情報サービスに関する援助を挙げた。

 図書館の発展は、社会の発展と密接に結びついている。かつては一部の特権階級向けのであった図書館は、今やだれでも無料で使える知的自由の要である公共図書館として発展している。また、粘土板から始まった図書館資料も、現在はデジタル化が急速に進んでおり、物体を伴わない電子資料の提供が不可欠になっている。

 これまでの図書館は、物理的資料を提供する場としての機能が主であった。しかし、これからの図書館は、従来の資料やその提供にとらわれず、あらゆる情報資源を収集・提供できる場として、社会に合わせたより一層柔軟な変化と取り組みが求められるだろう。

 

 

Q19. さまざまな記録媒体と図書館との関係について述べてください。

 図書館の歴史は、古代から記録媒体の発展とも密接に結びついている。

 初期の書写材料は木や粘土、石であった。紀元前7世紀頃にアッシリア王がニネヴェに建設した図書館は、楔形文字で書かれた粘土版を収集し、主題別に分類していた。粘土板はかさばるという難点がある一方、半永久的に保存できること、どこでも手に入るという利点があった。

 しかし、粘土版は持ち運びに不都合であったため、紀元前2500年頃にはナイル河畔のパピルスを加工したパピルス紙が使われるようになっていた。折れやすいために巻いたために、パピルスの書物は表面のみ使う巻物形態をとった。紀元前3世紀には、プトレマイオス1世がパピルスを収集するアレクサンドリア図書館を創設し、総合目録「ピナケス」も作られた。

 同時代には、活版印刷術と紙の出現まで一般的に使われていた羊皮紙を使ったペルガモンの図書館もあった。羊皮紙は、ヒツジなどの川に特殊加工を施したもので、パピルスに比べて堅く、なめらかで保存がきき、文字収容力が大きいなど利点があったため、書写材料として盛んに用いられ、8世紀初めにはパピルスを圧倒した。初期の羊皮紙は巻物形態だったが、中世キリスト教徒の手によって次第に冊子体に移行され、今日の図書の形態になった。しかし、羊皮紙は非常に高価なものだったため、中世の修道院図書館では、貸出しには担保が必要だったり、鎖付き本が用いられたりしていた。

 1450年頃にグーテンベルク活版印刷術を発明すると、図書が大量かつ安価に生産され、一気に普及したことにより、貸出しや公開が促進され、近代図書館の芽生えにつながった。 また、1517年の宗教改革は、活版印刷術によってルターの論文が急速に広がったことも要因であった。宗教戦争で破壊された修道院図書館の資料が、権力者などに収集され、公共図書館大学図書館の蔵書になったことや、布教を目的とした新しい教会図書館が設立されたことによって、図書館の一般利用が促進されるようになった。

 現在は、情報化社会と呼ばれ、日本でも2000年に国立情報学研究所が設置されるなど、図書館資料の紙媒体から電子媒体への移行が進んでいる。大学図書館においては、電子化された論文等をインターネット上で無料で発信する「機関リポジトリ」が整備されるなど、図書館は記録媒体の発展とともに、さらなる進化を遂げている最中なのである。

 

 

Q20. 戦後の図書館改革に述べてください。⇒p.55

 1945年の終戦により、日本の図書館はアメリカの指導の下に再出発した。アメリカ教育使節団が2度により日本の教育民主化政策を推進するために来日し、その結果が『米国教育使節団報告書』として報告されたが、日本の図書館が有料制であることや児童図書が不足していること、図書館の相互協力が不足していることを批判し、開かれた図書館を目指すべきとして図書館改革構想を提言した。

 1948年に「国立国会図書館法」が制定され、アメリカ議会図書館を手本として、納本制度の実施や日本全国書誌など各種書士の作成、国会議員への調査・研究支援、一般国民へのサービス、対図書館サービス、図書館協力などが国会図書館の任務として規定された。

 1950年には「図書館法」が制定され、公共図書館の設置及び運営に関しての事項を定め、司書の職務規定や資格、図書館奉仕など新しい図書館の在り方を示すものとして注目された。

 また1953年には「学校図書館法」が制定され、学校図書館の設置を義務付け、また司書教諭の制度を不十分ながらも確立した。

 しかし、一般市民の現実生活は以前厳しく、理想的図書館とはかけ離れたままであった。

 このような図書館の貧しさを憂えた図書館員たちにより、『中小都市における公共図書館の運営』(中小レポート)が1963年に発表され、図書館は転換期を迎えた。

中小レポートでは、図書館の役割は民主主義の基礎をなす知的自由の保障であるという認識のもと、①図書を気軽に館外貸し出しする、②徹底して児童サービスする、③図書館を身近に置くために全域へのサービス網を張り巡らすという3点を重点目標とした。その結果、次第に全国各地に新しい図書館や分館が誕生し、家庭文庫や地域文庫、子ども文庫が育成され始めた。

 1970年には、中小レポートの理念を基にした実践編として日本図書館協会が『市民の図書館』を刊行して資料提供を第一の原則とするなど、今日の貸し出しサービスが当たり前の現状を作った。

 1954年には、全国図書館大会において、「図書館の自由に関する宣言」が採択された。1979年に改訂版が承認されたこの宣言は、図書館の使命は市民の知る権利・自由を保障していく機関であることを示している。ここでは、図書館は、①資料収集の自由、②資料提供の自由、③利用者の秘密の厳守、④検閲に反対を確認し、これらの図書館の自由が侵害されるときは図書館は団結して自由を守ることがうたわれている。

 また、1980年には日本図書館協会総会が「図書館人の倫理綱領」を決議、自由宣言と表裏一体にある、図書館員の「利用者を差別しない」「秘密を洩らさない」など自主的規範として掲げた。

 2001年には、文部科学省が「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を告示して、レファレンスサービスの充実など情報サービスに関する援助を挙げた。

 このように、今日の日本の図書館サービスがあるのは、先人たちの努力や工夫によるものなのである。

図書・図書館史 科目終末テスト(回答例)Q11~Q15

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q11. 日本の近代初期の図書館事情について述べてください。⇒p.46

 江戸時代の封建社会が崩壊し、明治維新の近代化を目指す大改革の中で、日本は欧米に使節を送り、近代事情を日本へ導入した。1861年に遣欧使節の一員として海外訪問した、福沢諭吉は、1869年に出版した『西洋事情』の中で、欧米の図書館を「ビブリオテーキ」として言及し、納本制度など欧米の図書館事情を始めて日本に紹介した。市川清流も同じ遣欧使節随行し、日本にも図書館を作るべきだという書籍院建設の建白書を文部大輔に上申した。

 その建白書が契機となり、1872年に、日本初の官立公共図書館で、国立国会図書館の源流である書籍館が発足した。書籍館は、身分的制約を撤廃して解放され、館外貸し出しはなく、閲覧料を支払う仕組みであった。

 書籍館1873年には内務省管轄の浅草文庫と称され、同年に文部省が設立した東京書籍館に吸収された。閲覧料は無料となった。その後、東京図書館に改称され、後には教育博物館と合併、1897年には帝国図書館と改称され、9年後には上野公園内に新館が完成し、蔵書24万冊を誇る近代的な図書館となった。1947年には国立図書館と改称され、1949年には国立国会図書館支部上野図書館(後の国際子ども図書館)となった。

 書籍館が設立した同年には、京都に設立された集書会社が近代公共図書館の先駆けとなった。京都府は、集書会社の南に集書院を建て、経営を収書会社に委託した。利用者は入会金が必要など、一種の会員制図書館であったが、商業的運営が破綻し、蔵書は京都府立図書館に引き継がれた。

 ほかにも、近代図書館の先駆けとしては、新聞縦覧所や貸本屋があり、明治期図書館運動の前触れとなった。各地の新聞縦覧所と並んで書籍館が設立され、有料あるいは無料で利用されたが、後に教育が国家主義に転換されると、1882年文部省の「示諭事項」により通俗小説などが教育上弊害ある図書に指定され、また自由民権運動を背景として書籍館が衰退すると、教育界経営の図書館が各地に誕生して、公共図書館誕生の母体となった。

 1899年には、日本で初めての図書館の法律「図書館令」が公布され、図書館が図書の収集や利用に供することを定められたが、利用については閲覧料の徴収が示されていた。

 1933年には改正図書館令が公布され、中央図書館制度を新設した。これは、図書館同士を建ての関係で結びつけ国家統制のもとに図書館を思想善導機関としようとしたものであった。

 

 

Q12. 戦前の図書館事情について述べてください。⇒p.52

 1899年に、日本で初めての図書館の法律「図書館令」が公布された。利用については閲覧料の徴収が示されていたが、図書館が図書の収集や利用に供することを定められ、1901年の成田図書館や、1902年の大橋図書館の設立など、図書館設置が全国的に波及した。

 1906年には帝国図書館が上野に新築され、東京日比谷図書館が設立し、1907年には日本文庫協会が機関誌「図書館雑誌」を創刊し、1908年に日本文庫協会日本図書館協会に改称された。

 1910年には、文部大臣小松原英太郎が「小松原訓令」と呼ばれる図書館設立に関する注意事項を全国の地方長官に発し、巡回文庫や館外貸し出しなど図書館の近代化の方向を示しながらも、図書館を国民教化の機関としてとらえて、健全有益の図書の収集を強調し、施設は簡易にすることを求めた。これを基に、全国に簡易図書館と称される、学校の校舎を借りて開くなどした小図書館が続々と誕生した。

 1933年には改正図書館令が公布され、中央図書館制度を新設した。これは、図書館同士を建ての関係で結びつけ国家統制のもとに図書館を思想善導機関としようとしたものであった。

 一方、1921年には、文部省図書館員教習所が開設され、国にとる図書館員の養成が始り、後の図書館情報大学筑波大学図書館情報専門学群につながっていった。

 

 

Q13. 戦後、市民への図書館サービス活動について述べてください。

 戦後、日本の図書館はアメリカの指導のもと再出発し、1950年には図書館法が制定されるなど開かれた図書館像が示された。しかし、一般市民の現実生活は以前厳しく、理想的図書館とはかけ離れたままであった。

 このような図書館の貧しさを憂えた図書館員たちにより、『中小都市における公共図書館の運営』(中小レポート)が1963年に発表され、図書館は転換期を迎えた。

 中小レポートでは、図書館の役割は民主主義の基礎をなす知的自由の保障であるという認識のもと、①図書を気軽に館外貸し出しする、②徹底して児童サービスする、③図書館を身近に置くために全域へのサービス網を張り巡らすという3点を重点目標とした。その結果、次第に全国各地に新しい図書館や分館が誕生し、家庭文庫や地域文庫、子ども文庫が育成され始めた。

 1970年には、中小レポートの理念を基にした実践編として日本図書館協会が『市民の図書館』を刊行して資料提供を第一の原則とするなど、今日の貸し出しサービスが当たり前の現状を作った。

 1954年には、全国図書館大会において、「図書館の自由に関する宣言」が採択された。1979年に改訂版が承認されたこの宣言は、図書館の使命は市民の知る権利・自由を保障していく機関であることを示している。ここでは、図書館は、①資料収集の自由、②資料提供の自由、③利用者の秘密の厳守、④検閲に反対を確認し、これらの図書館の自由が侵害されるときは図書館は団結して自由を守ることがうたわれている。

 また、1980年には日本図書館協会総会が「図書館人の倫理綱領」を決議、自由宣言と表裏一体にある、図書館員の「利用者を差別しない」「秘密を洩らさない」など自主的規範として掲げた。

 2001年には、文部科学省が「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を告示して、レファレンスサービの充実など情報サービスに欠かす援助を挙げた。

 このように、今日の日本の図書館サービスがあるのは、先人たちの努力や工夫によるものなのである。

 

 

Q14. 西洋の図書館を日本に紹介した先覚者たちについて述べてください。⇒p.44

 江戸時代の封建社会が崩壊し、明治維新の近代化を目指す大改革の中で、日本は欧米に使節を送り、近代事情を日本へ導入した。

 欧米の図書館事情を日本に紹介した最初の人物は、1861年に遣欧使節の一員として海外訪問した、福沢諭吉であった。福沢は、1869年に出版した『西洋事情』の中で、欧米の図書館を「ビブリオテーキ」として言及し、西洋の図書館や納本制度を始めて日本に紹介した。

 市川清流も同じ遣欧使節随行し、日本にも図書館を作るべきだという書籍院建設の建白書を文部大輔に上申した。

 文部大輔の田中不二麻呂は、1871年岩倉具視の欧米視察に随行して各国の図書館を視察し、『特命全権大使米欧回覧実記』の中で報告し、文部省年報に「公立書籍館の設置を要す」という論文を発表して啓もう活動を行った。

 他にも、地方で御雇外国人たちが日本の図書館や博物館設置の必要性を建言した。

 1892年には、「図書館に関する学術修行」として1年半にわたる米英留学の後、東京図書館長、のち初代の帝国図書館長として活躍した田中稲城などにより、日本文庫協会が発足した。日本文庫協会は、1908年に日本図書館協会に改称し、現在に至る。

 他にも様々な先覚者たちの努力により、欧米から図書館事情が導入され、近代日本の図書館の歴史が始まったのである。

 

 

Q15. 近未来の本と図書館について思うところを述べてください。

 近年は情報化社会と言われ、電子書籍やオンラインデータベースなど、「ネットワーク情報資源」と呼ばれる図書館資料の電子化が急速に進んでいる。

 しかし、日本の公共図書館では、ネットワーク情報資源は十分に提供されているとは言い難いのが実情である。米国では、2015年にLibrary Journal社が調査した公共図書館のうち94%が電子書籍を提供していた一方、日本では、そもそも図書館向けの電子書籍が少ないこともあり、2016年10月時点で、電子書籍を提供しているのは図書館設置自治体の約4%にとどまっている。

 一方で、地域資料を収集、デジタル化して提供している公共図書館もある。大阪府豊中市立図書館と箕面市立図書館とが連携する「北摂アーカイブス」などが挙げられる。

 ほかにも、国立国会図書館の承認を受けた公共図書館では、館内限定ではあるが、「図書館向けデジタル化資料送信サービス」を通じて、絶版等で入手困難な資料をインターネットを通じて閲覧と複写ができるほか、「歴史的音源」や動画資料も提供されている。

 また、現在、図書館では、従来の蔵書検索のみならず、電子書籍や雑誌記事など「あらゆるコンテンツを一度に探すことができる」、「ディスカバリーサービス」という検索サービスが登場するなど、提供できる情報が益々多岐に渡っている。

 このように、日本の公共図書館における電子資料の提供は限定的ではあるものの、各館が工夫を凝らして提供を促進している。今後はさらに時代の要請に基づき、だれでもいつでも自由に情報を取得できるよう、図書館の柔軟で進歩的な取り組みが求められるだろう。

 

図書・図書館史 科目終末テスト(回答例)Q6~Q10

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

 

Q6. 近世の本の生産と文庫、貸本屋などの事情について述べてください。⇒p.29

 江戸時代になりそれまでの中世的な分権的封建制が、徳川の幕藩体制により集権的封建制に変わると、儒教をバックボーンに天下安泰の世を迎えた。封建社会における平和は、それまで文化が貴族や僧侶だけのものだったのに変わり、幕府が学芸を奨励したこともあり、下層階級にまで伝播し、武士や町民の国民文化として栄えた。

 また、この時代には、整版本が盛況を迎え、商業出版が営業として確立した。読者人口が増えると書籍の出版販売が増え、結果として一般人にも本が流通し始めた。武士や大名の文庫、朝廷や公家の文庫、町人の文庫、幕府直轄学校や藩校の文庫、神社や寺院文庫ができた。なかでも、江戸時代末期になると、近世商業主義の台頭によって庶民に実利学が必要となり、また寺子屋などの発達により読み書きそろばんの重要性を認識されて文字の普及が促進されたことにより、庶民の読書機関としての文庫が出現するようになった。特に有名な文庫として、浅草文庫や青柳館文庫がある。

 ほかにも、伊勢の射和文庫など各地に庶民文庫が設立されたが、これらはいずれも一般庶民のために開かれた図書館として今日の公共図書館的な機能を果たしていたが、もともと個人的な性格の期間として出発していたことから公的な基盤が弱く、近代の図書館として発展はしなかった。

 また、江戸時代に図書館の代行機関的な機能を果たした庶民の読書機関には、貸本屋もあった。寛永期に入ると整版印刷によって出版が盛んになり、本の貸し出しが商売になり、見料を払って読むのが読書のならわしとなった。1767年に創業された名古屋の貸本屋大野屋惣八は日本最大の貸本屋で、「大惣」と呼ばれ、娯楽から学術まで広く蔵書を収集していたが、廃業後は蔵書は京都大学東京大学などに引き取られた。

 

 

Q7. 「図書寮」「文殿」「経蔵」をキーワードとして図書館の萌芽について述べてください。⇒p.13

 日本にはもともと独自の文字がなかったが、中国や百済から文字が伝来し、飛鳥時代には仏教が伝来すると、経典などを書写するようにいなり、紙の生産も始まった。それらを保管するために経蔵や文庫の発生を促すことになり、それが図書館の萌芽となった。

 経蔵は、経典専門書庫であり、たいていは寺院に隣接して建てられた。資料の保存だけでなく、教育活動の場としても利用されていたとされている。

 その後、645年の大化の改新で文書中心主義の律令制度が導入されると、紙や木簡に書かれた文書が命令や報告に使用された。『古事記』『日本書紀』『風土記』などの国史編纂のほかに、行政関係文書が大量に生み出されたため、それらを取集保管する期間が必要になり、文書作成能力を持った役人と書庫が誕生したが、中でも国の重要機関の一つとして登場したのが図書寮であった。

 図書寮は701年の大宝律令によって定められ、天皇の側近として最も重要な賞である中務省に属した。図書の保管、書写などを専門に扱っており、直轄の金井事業として行政資料に使用する紙を製造する紙屋院という向上もあった。現在は形を変え、宮内庁書陵部が設置されている。

 図書寮以外に間接の文書保管期間として各官司、内裏、院、摂関家、幕府などに設置されたのが文殿であり、政府の記録庫としての役割を果たしていた。とくに太宰官弁官局文殿は官文殿とよばれ、政府関係文書を保管し、またこれらを資料として公文書を作成しており、今日の公文書館に相当する機能であった。

 

 

Q8. 奈良・平安時代の貴族文庫について述べてください。⇒p.18

 平安時代中期になると、遣唐使が廃止され、大陸文化の影響が薄らぐとともに、藤原氏を中心とした国風文化が成熟した。国風文化の発達はカナ文字の成立によって文字に対する知識が普及し、『伊勢物語』『枕草子』『源氏物語』など文革の発達を促進し、書物の量が増したことにより、貴族の間で次第に学問研究のための文庫を邸内に設置するようになっていった。

 奈良時代末期の貴族・文人石上宅嗣は、晩年、仏教に帰依してから私邸を寺とし、そこに「芸亭」と称する書斎を設けて儒教の典籍を収蔵・解放した。これが日本最古の公開図書館である。芸亭では図書の閲覧だけでなく、儒仏一体の教育施設の役割も果たしていた。

 学問の神様と言われる菅原道真は、京都の邸宅に「紅梅殿」と呼ばれる文庫を所有していた。多くの図書を所蔵していたほか、道真が菅原氏一門の子弟に書庫を開放して、一種の私塾としての教育的機能を兼ね備えていた。

 

 

Q9. 鎌倉・室町時代武家文庫事情について述べてください。⇒p.24

 鎌倉・室町時代は、今までの荘園制を崩壊させ、武家勢力が浸透し、御家人制度によって封建制度が確立されたことで、武家の文化が成立し、文化が地方に拡散したことで、文化の庶民性が強くなった。また浄土宗など新仏教が興ったり、平家物語などの軍記物や新古今集などが発表されたりした。

 鎌倉時代の有名な文庫は、北条実時によって作られた金沢文庫で、実時が学んだ政治、法制、軍事、文学など広範囲の書物が文庫の基礎をなしていた。金沢文庫はその後子孫により発展し、漢籍や国書などさらに広い分野にわたり収集された。利用には規定があり、僧侶を中心とする一部の関係者に限定されていたが、関東における文化のメッカとして図書監視上際立った存在である。

 室町時代には、現代に残る日本最古の学校と言われている足利学校の足利文庫があった。足利学校は、武家への助言者を養成する機関で、入学者は僧侶に限られており、儒学を中心として易学や兵学に力を入れていた。文庫の図書は武人から寄進され、儒学関係、特に易学の典籍が豊富だった。図書の貸し出しは禁止で、閲覧は一冊のみ、書き込み・切り抜き禁止などの規定があった。

 

 

Q10. 近世の大名文庫事情について述べてください。⇒p.32

 徳川幕府儒教を中心とした文教政策に力を入れたが、「大名も天下泰平について文教振興を促進して文庫を設けるようになった。なかでも、御三家と呼ばれる尾張紀伊、水戸には、徳川家康駿河文庫の資料が分与され、貴重な文庫となった。

 駿河文庫は、家康が駿河の国に引退後、駿府城内に設けたもので、国史系図、法典などの編纂と開板事業に役立てることが目的だった。駿河文庫の資料は遺命により、駿河親藩である尾張紀伊、水戸の御三家に5:5:3の割合で分与され、駿河お譲り本と呼ばれている。お譲り本はその後、各地で、尾張蓬左文庫紀伊の南葵文庫、水戸の彰考館文庫などの蔵書になった。

 蓬左文庫は、御譲り本3000冊を基礎として名古屋城内に設けられた文庫で、昭和25年に名古屋市に譲渡され、現在約11満点の蔵書がある。

 南葵文庫は、もとは偕楽園文庫と称されていたのを、明治35年に東京都麻布区の徳川頼倫の自宅に移して私立南葵文庫として一般に公開した。座席数320、音楽界や読書会、児童会などの図書館活動も行われ、閲覧料も徴収されなかった。関東大震災後に東京大学総合図書館に蔵書が寄贈された。

 昭王館文庫は、徳川光圀により最初は江戸に開設され、後に水戸に移された。現在は一部の資料が彰考館徳川博物館の彰考館文庫に引き継がれている。

 御三家のほかにも、加賀藩前田家の尊経閣文庫や、佐伯藩の佐伯文庫、薩摩島津藩の春叢文庫など、各地に大名文庫が作られた。

 

図書・図書館史 科目終末テスト(回答例)Q1~Q5

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

Q1. 古代アレクサンドリア図書館の歴史的な意義を述べてください。⇒p.60

 古代の文明は王権と神話とが癒合しており、アレクサンドリア図書館は、王権によって建てられた、古代・中世を通じて世界最大の規模を誇る、ヘレニズム文化を代表するパピルス本の一大コレクションであった。 アレクサンドリア図書館を作ったのは、エジプトのプトレマイオス1世で、アレクサンドリアを貿易の中心、学問の中心としてギリシャ文化の保護と発展に力を注いだ。博物館と並んで当時最大の知識の生産所であったアレクサンドリアの学問を求めて世界各地から図書館を訪れる人々による外貨の利益で都市は益々豊かになった。

 プトレマイオス2世の時代になると、文献収集に一層熱心になり、ギリシャの文献すべてを収集する構想を描いた。図書館には写本を専門とする職員がおり、書写生の要請も行い、写本は図書館の蔵書になると同時に市販もされ、図書館と出版局の機能が一体化していた。

 アレクサンドリア図書館長は国王により任命され、ヘレニズム文化最高の栄誉職とされた。カリコマスという図書館長もしくは職員は、「ピナケス」と言う主題分類・アルファベット配列の総合目録を作り、その後の目録に大きな影響を与えたと思われている。

 アレクサンドリア図書館はヘレニズム文化のかなめであり、学術文献の収集だけでなく、目録の編纂、辞典類の編集、翻訳など、資料保存と研究・生産を一手に担っていた。

 

 

Q2. 西洋中世の修道院における写本生産の歴史的な意義を述べてください。⇒p.70

 中世の文明はキリスト教の発展とともにあり、図書館も修道院とともにあった。ヨーロッパ各地の修道院に図書館が作られ、図書館は文化のかなめとなっていた。

 図書館の重要な役割の一つが、写本生産であった。修道院図書館には写本室が設けられ、写字生という専門家たちが主にキリスト教関係の図書やギリシャ・ローマの古典類の書写を行った。修道院図書館は、図書生産の中心であり、文化保存の場でもあり、中世文化が修道院に集中されていただけでなく、古代ギリシア文化遺産の継承に大きな役割を果たしたことにも歴史的な意義を見出すこともできる。

 また、中世の修道院は当時の唯一の教育機関であり、その後中世後期に大学が台頭するまで、修道院は学問の中心とおして、教育の橋渡しの機能を有していた。

 

Q3. 徳川家に関連した文庫と、その後の展開について述べてください。⇒p.31

 徳川家に関連した文庫としては、紅葉山文庫駿河文庫が挙げられる。

 紅葉山文庫は、もともと富士見亭文庫と言う名で設置された徳川幕府最初の文庫で、日本最初の官立図書館と言える、江戸幕府の参考図書館であった。1602年に江戸城内富士見亭に設けられたが、1640年に火災防止のために紅葉山に移され、紅葉山文庫と呼ばれるようになった。

 紅葉山文庫は将軍の利用に供することを目的とした高度な専門書を蔵書として扱い、幕府の権力と経済力によって十分な運営が行われた。蔵書には洋書もあり、慶長御社本などの写本も収集された。幕末の蔵書は16万巻で漢籍が65%を占めていた。文庫はあくまで幕府の期間で、一般公衆の利用は考慮されていなかった。

 明治以降は新政府の管理に入り、1885年に内閣制度制定に伴い内閣文庫となった。その後は国立公文書館のない確認子に継承され、一部は宮内庁書陵部で保管されて今日に至っている。

 駿河文庫は、家康が駿河の国に引退後、駿府城内に設けたもので、国史系図、法典などの編纂と開板事業に役立てることが目的だった。駿河文庫の資料は遺命により、駿河親藩である尾張紀伊、水戸の御三家に5:5:3の割合で分与され、駿河お譲り本と呼ばれている。お譲り本はその後、各地で、尾張蓬左文庫紀伊の南葵文庫、水戸の彰考館文庫などの蔵書になった。

 

 

Q4. 近世日本の庶民による各種文庫について述べてください。⇒p.41

 江戸時代末期になると、近世商業主義の台頭によって庶民に実利学が必要となり、また寺子屋などの発達により読み書きそろばんの重要性を認識されて文字の普及が促進されたことにより、庶民の読書機関としての文庫が出現するようになった。

 特に有名な文庫として、浅草文庫や青柳館文庫がある。

 浅草文庫は、徳川家康の侍医でもあった図書収集家により作られ、江戸時代最初の公開図書館であったと言われている。医書だけでなく一般の和漢書も収集し、一般の閲覧に供して、また出版も行って居たと言われている。

 青柳館文庫は、仙台藩に献上された私有の2万巻余りの蔵書と千両でつくられた。仙台藩はこの文庫に今日の司書ともいえる目付を配置して公費で運営し、一般庶民に公開した。東北初めての公開図書館であり、図書の帯出制度もあり、管理運営は近代公共図書館とほとんど変わらなかった。

 ほかにも、伊勢の射和文庫など各地に庶民文庫が設立されたが、これらはいずれも一般庶民のために開かれた図書館として今日の公共図書館的な機能を果たしていたが、もともと個人的な性格の期間として出発していたことから公的な基盤が弱く、近代の図書館として発展はしなかった。

 また、江戸時代に図書館の代行機関的な機能を果たした庶民の読書機関には、貸本屋もあった。寛永期に入ると整版印刷によって出版が盛んになり、本の貸し出しが商売になり、見料を払って読むのが読書のならわしとなった。1767年に創業された名古屋の貸本屋大野屋惣八は日本最大の貸本屋で、「大惣」と呼ばれ、娯楽から学術まで広く蔵書を収集していたが、廃業後は蔵書は京都大学東京大学などに引き取られた。

 

 

Q5. グーテンベルクと図書館の発展について述べてください。⇒p.83

 1450年頃にグーテンベルク活版印刷術を発明すると、図書が大量かつ安価に生産され、一気に普及したことにより、貸出しや公開が促進され、近代図書館の芽生えにつながった。

 それ以前の図書は、専門家によって書写されて出版された大変貴重なものだったので、貸し出しには担保が必要だったり、鎖付き本が用いられたりしていた。しかし、活版印刷術によって図書は一般的になり、教育の普及が一層促進された。

 また、図書の増大は保管方法にも変化をもたらした。それまでは箱や書見台に置かれていたものが書架に並べられるようになったことで、公開が一層促進された。

 中世の図書館は書写室を併設していたが、印刷術の普及によって印刷所がとって変わっていった。

 また、1517年の宗教改革は、活版印刷術によってルターの論文が急速に広がったことも要因であった。宗教戦争で破壊された修道院図書館の資料が、権力者などに収集され、公共図書館大学図書館の蔵書になったことや、布教を目的とした新しい教会図書館が設立されたことによって、図書館の一般利用が促進されるようになった。

 

図書・図書館史 科目終末テスト(設問)

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

Q1. 古代アレクサンドリア図書館の歴史的な意義を述べてください。⇒p.60

Q2. 西洋中世の修道院における写本生産の歴史的な意義を述べてください。⇒p.70

Q3. 徳川家に関連した文庫と、その後の展開について述べてください。⇒p.31

Q4. 近世日本の庶民による各種文庫について述べてください。⇒p.41

Q5. グーテンベルクと図書館の発展について述べてください。⇒p.83

Q6. 近世の本の生産と文庫、貸本屋などの事情について述べてください。⇒p.29

Q7. 「図書寮」「文殿」「経蔵」をキーワードとして図書館の萌芽について述べてください。⇒p.13

Q8. 奈良・平安時代の貴族文庫について述べてください。⇒p.18

Q9. 鎌倉・室町時代武家文庫事情について述べてください。⇒p.24

Q10. 近世の大名文庫事情について述べてください。⇒p.32

Q11. 日本の近代初期の図書館事情について述べてください。⇒p.46

Q12. 戦前の図書館事情について述べてください。⇒p.52

Q13. 戦後、市民への図書館サービス活動について述べてください。

Q14. 西洋の図書館を日本に紹介した先覚者たちについて述べてください。⇒p.44

Q15. 近未来の本と図書館について思うところを述べてください。

Q16. 図書館史を学んで、よかったと思われる点を述べてください。

Q17. 日本の図書館史に登場した人物を何人か挙げて、彼らの業績を述べてください。⇒Q14と同じ

Q18. 図書館史を学んで感じたことを自由に述べてください。

Q19. さまざまな記録媒体と図書館との関係について述べてください。

Q20. 戦後の図書館改革に述べてください。⇒p.55

 

 

 【感想など】

「学習してよかったこと」とか「思ったこと」とかテストの設問なの!?みたいな設問もありますが、基本的には素直にテキストを勉強すれば大丈夫な科目だと思います。

が、年代や用語など細かいところで間違えやすいので、注意が必要です。この回答例もおそらくどこか間違っている気がしますが、さてどこでしょう。

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q16~Q20

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<設問>

 

Q16. OPAC(Web OPAC)とカード目録を比較し、それぞれのメリットとデメリットについて論じなさい。⇒p.19、22

 カード目録の構成要素は、①タイトルほか対象資料の書誌情報を記した「書誌記述」、②タイトル、著者、主題など検索用の見出しである「標目」、③標目を付して各記入を作っていく作業を目録作業者に指示するための「標目指示」、④排架場所を示す「所在記号」から成り、標目ごとにカードを作成する。

 一方、OPACでは、一つのレコードにすべての標目を入力できるので、標目と標目指示の区別がない。

 カード目録では、アクセスポイントとすべき標目ごとにカードを作成する必要があるため、コストや手間の関係から、柔軟な検索に対応するには限界があるが、OPACではより多様なアクセスポイントを設定できる

 その一方で、カード目録は、ひとつの資料に対して「タイトル」「著者」「主題」などカードが複数枚存在するので、OPACがインターネット対応しておらず、専用機が必要なOPACが図書館に1台しかない場合、カード目録ならば一度に複数人が利用できるという利点もある。

 

Q17. MARCの概要について述べなさい。⇒p.70、174

 目録の情報を一定のフォーマットでコンピュータ処理できるように記録している目録データを「機械可読目録(MARC)」と呼ぶ。

 米国では、納本図書館である議会図書館が1960年代から、「MARC」の頒布を行っている。日本では、国立国会図書館がその役割を担うが、実際に多くの公共図書館で活用されているのは、民間企業が作成したMARCである。これは、日本ではCIPと呼ばれる、出版物に書誌情報が刷り込まれる制度が無く、目録作成作業が遅れることにも起因する。

 MARCは、ひとつの組織や機関が一括して目録作業を行う「集中目録作業」に使用される。集中目録作業は効率的で書誌情報の品質を保つことができる一方、図書の刊行とMARCへの収録とに時間的なずれが生じる問題点がある。

 MARCは図書館独自のフォーマットで、識別子をマークアップし、タグによって書誌データを表す。MARCフォーマットは基本的には各種MARCで異なっているが、国際図書館連盟(IFLA)が1977年に定めた「UNIMARC」フォーマットは国際的な利用を想定して定められており、実際にいくつかの国で採用されている。

 また、目録データそのものだけでなく、典拠データを交換するために、典拠レコードをコンピュータで扱うためのフォーマットも必要であり、米国議会図書館では、「MARC21 for Authority Record」というフォーマットに基づいて典拠データが作成されている。

 

Q18. ダブリン・コアの基本エレメントについて、具体例を挙げて説明しなさい。⇒p.80

 「データについてのデータ」をメタデータと呼び、メタデータのエレメントやその定義、書き方等が標準化された規定をメタデータスキーマと呼ぶ。その代表例が、「ダブリン・コア・メタデータ・エレメント集合」(メタデータ)であり、15の基本エレメントがある。

  • タイトル…情報資源の名前
  • 著者あるいは作成者…情報資源の内容に関して責任を持つ人または組織
  • 主題及びキーワード…情報資源の内容的なトピック
  • 内容記述…情報資源の内容についての説明
  • 公開者(出版者)…情報資源を現在の形態にした機関等
  • 寄与者…著者以外の作成にかかわった人
  • 日付…現在の形で利用できるようになった日付
  • 資源タイプ…HP、小説、辞書など情報資源の形式
  • 形式…情報資源のデータ形式
  • 資源識別子…情報資源を一意に識別するための番号
  • 出所…情報資源の出所
  • 言語…使用言語
  • 関係…ほかの情報資源との関連
  • 対象範囲…情報資源の地理的または時間的特性
  • 権利管理…著作権や利用条件に関する記述

 

Q19. 『日本全国書誌』の概要と問題点について述べなさい。⇒p..70、170、172

 国内で出版物等を刊行する際に国立図書館への納入を出版社に義務付ける「法定納本制度」は多くの国で実施され、この制度によって収集された資料を対象とする定期的な「全国書誌」が作成されており、日本では、国立国会図書館の『日本全国書誌』がそれにあたる。

 国立国会図書館は、1948年に『納本月報』の刊行を開始し、これが『国内出版物目録』、『納本週報』と変遷し、1981年からは『日本全国書誌』となった。週刊の冊子体であった『日本全国書誌』は、別途MARCフォーマットでのデータ一括頒布が行われており、また2007年には冊子体での刊行は停止され、週次更新のホームページ版となり、2012年からは、NDL-OPACの機能の一部として、日次更新される情報をMARCフォーマットを含むいくつかのデータ形式でダウンロードする形で「全国書誌データ提供」としてサービスが行われている。

 しかし、実際に多くの公共図書館で活用されているのは、民間企業が作成したMARCである。これは、日本ではCIPと呼ばれる、出版物に書誌情報が刷り込まれる制度が無く、図書の刊行とMARCへの収録とに時間的なずれが生じるため、目録作成作業が遅れることにも起因する。

 この問題を改善するために、国立国会図書館では、2010年以降、図書受け入れ後すぐに簡略な書誌データを作成・提供し、後日詳細な完成データに置換できるようサービスを行っている。

 

Q20. IFLAの書誌コントロール活動について述べなさい。⇒p.171

 「書誌コントロール」とは、資料を識別同定し、記録して、利用可能な状態を作り出すための手法の総称で、書誌調整とも呼ばれる。各図書館の情報資源組織処理から始まって、国家や国際的な規模で、標準的な書誌的記録を作成し、共同利用するための仕組みに至るまでの全体を示す。

 国際図書館連盟(IFLA)は、1927年に発足し、まずは目録法の標準化を企図した。その活動は、1961年の標目の選定と形式を扱う「パリ原則」や、1969年から制定作業が開始された「国際標準書誌記述(ISBD)」に結びつき、1974年にはコアプログラム「国際書誌コントロール(UBC)」が発足し、ISBDの制定や国際標準のMARCフォーマットである「UNIMARC」フォーマットの開発がすすめられた。

 1990年代以降には、ISBDやUNIMARCの維持・改訂活動に加えて、1997年に目録規則の見直しの基礎となる、書誌情報の政界の概念モデルを示して書誌レコードにはどのようなデータが必要かという要件を考察した『書誌レコードの機能要件(FRBR)』という報告書を発表したほか、2009年には、パリ原則に代わって、各国、各言語圏における目録規則整備の指針となることが期待される『国際目録原則覚書』を策定するなど、従来の目録法の枠組みを見直す活動も活発に行っている。

 近年では、IFLAの図書館サービス部会の傘下に「書誌」「目録」「分類・索引」等の分科会を置き、書誌コントロールに関わる諸活動を担当している。

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q11~Q15

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<設問>

 

Q11. 『日本十進分類法』と『基本件名標目表』それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒p.118、157

 『日本十進分類法』(NDC)は、日本の標準分類表として公共図書館のほとんどで使用されている分類法である。日本十進分類法(NDC)は、米国の「デユーイ十進分類法(DDC)」を基に、カッターの「展開分類法(EC)」に倣って主要な学術・研究領域を設定したもの(二村、pp.117-118)で、「十進分類法」の明快さと、「列挙型分類法」の主題の表現の的確さとを併せ持っている。

 NDCでは、「要約表」と呼ばれる「第一区分」(類)、「第二区分」(綱)、「第三区分」(要)と、実際に分類作業に使用する、その下に小数点をつけて更に細分化した第4区分以降の「細目表」と言われるものがある(田窪、p.119)。

 細目表だけでは表現しきれない資料の分類には、記号を合成し、より適切な分類記号を作り出すための「補助表」が使われ、形式や地理、海洋、言語などを表す「一般区分表」と、宗教派閥などを表す固有補助表がある。(田窪、pp.126-128)。

 一方、『基本件名標目表』(BSH)は、事前結合索引法のための統合語彙表である件名標目表の日本で代表的なもののうちの一つで、『国立国会図書館件名標目表』(NDLSH)が一館件名標目表であるのに対し、日本の標準件名標目表はBSH最新版第4版である。検索語として使用される語を「件名標目」と呼び、使用されない語は「参照語」と呼ぶが、BSHは、①件名標目と参照語などを音順に配列した「音順標目表」、②件名標目をNDCの順に配列した「分類記号順標目表」、③件名標目の階層構造を表示する「階層構造標目表」から成り、①音順標目表が本表的位置づけである。件名とは主題等を表す語で、標目とはアクセスポイントのことである。つまり、件名標目表は、もともとは主題検索が可能となるようにカード目録に件名標目を付与するために作成されたものとも言える。

 NDCとBSHの違いは、前者は分類によって資料検索を可能にする分類法で、後者は資料の主題を表す語によって検索可能にする件名法であるということである。分類法では、特定の主題の資料をとらえられるため、検索結果の精度率が高いと言える。その反面、主題を一つしか与えられないために、複合主題や混合主題の資料の検索には不利に働く。一方で、件名法では、検索結果の精度が劣る一方で、例えば「宗教と歴史」など扱っている内容の比重等によって、分類法では宗教なのか歴史なのかどちらかにしか分類できない資料を、複数の件名を扱って表現できるので、検索結果の再現度が高いと言える。

 

Q12. 分類規定の概要について述べるとともに具体例を挙げて詳しく述べなさい。⇒p.131、137

 分類結果に一貫性を持たせるために、分類作業に必要なルールや指針として必要なものが「分類規定」(分類基準)である。分類規定には、各図書館に共通する一般分類規定と、各図書館がそれぞれの耳珠上に応じて決める特殊分類規定とがあるが、前者のうち、NDCによる分類記号の決定・付与作業に関係するものは、以下となる。

  • 主題の観点…学問分野を明確にし、その観点の下にある主題の分類項目の分類記号を選択する。(例:『米:イネからご飯まで』は、流通から見た米が主題なので33)
  • 主題と形式概念の区別…主題を表現する叙述または編集・出版形式を選択する(例:『生物学事典』は生物+辞典なので33)
  • 原著作とその関連著作…特定著作の翻訳、評釈等は、一部の例外(語学学習書、翻案・脚色、特定意図による抄録)を除き、原書策と同一の分類項目に分類するのが原則となる(例:『オリエント急行殺人事件』は、原著作と同じ20世紀英文学小説の7)
  • 複数主題…一つの資料が複数の主題をそれぞれ独立して取り扱っている場合は、
    1. 中心・重点となる主題に分類(例:『胃癌の話 付:食道癌と腸癌』は胃がんが中心のため455)
    2. 中心・重点となる主題がなく、2~3つの主題を対等に扱っている場合は、最初の主題に分類(例:『うめ・いちじく・びわ』はうめ54)
    3. 中心・重点となる主題がなく、4つ以上の主題を対等に扱っている場合は、それらを含む上位の主題に分類(例:『コマツナシュンギク・レタス・ハクサイ』は葉菜類5)
  • 主題と主題の関連複数の主題を相互に関連させて扱っている場合には、その関連の種類によって分ける。
    1. 影響関係…影響を受けた主題に分類する(例:『ベトナム戦争アメリカ経済』はアメリカ経済53)
    2. 因果関係…結果の主題に分類する。(例:『海洋汚染と赤潮』は赤潮96)
    3. 概念の上下関係…上位の主題に分類する。(例:『農業と農村』は農業610)
    4. 比較対象関係…比較の尺度として使われている主題でなく、著者が説明しようとする主題、または主張している主題に分類する。(例:『日韓法制比較解説:物権法』は、韓国の物権法の特徴を日本の物権法との比較手法によって解説しているので、韓国の物権法921)
    5. 主題と材料…説明される主題に分類する(例:『教科書で見る近代日本の教育』は日本の教育1)
    6. 理論と応用…応用された方に分類する(例:『原子力の理論と応用』は理論の原子物理学ではなく、その応用である原子力工学539)
    7. 主題と目的・・・目的とした主題に分類する(例:『介護のための心理学入門』は介護福祉369)
  • 新主題・・・細目表に用意されていない主題に関する著作は、その主題と最も密接な関係があると思われる主題の分類項目、または階層の上位にある包括的クラスの分類項目に分類する

 また、特殊分類規定としては、以下のものを定めることが望ましい。

  • 資料に関する規定(別置等)
  • 分類表に関する規定
    • 付与する桁数の決定
    • 二者択一項目の選択・決定
    • 分類表中の名辞や用語の意味の限定、解釈の統一、適用範囲の明確化
    • 新主題のための分類項目の新設、不適当な分類項目の削除、不使用

 

Q13. シソーラスの概要について述べなさい。⇒p.150

 シソーラスとは、事後結合索引法のための意味論に特化した統制語彙表で、通常は特定の主題分野に特化したものである。

 1950年代のタウベによる「ユニターム・システム」という主題組織システムの開発により、事後結合索引法が確立期を迎えた。このシステムは当初は自然語を使用していたが、自然語による索引付与に限界があったので、統制語を使用するようになり、1957年以降、事後結合索引法を意識した統制語彙表は、シソーラスと呼ばれるようになり、コンピュータによる情報資源組織・情報検索で本格的に利用されるようになった。なお、シソーラスはISO25964「シソーラス及び他の語彙との相互運用性」による国際基準がある(p.176)。

 シソーラスは、基本的には索引語として使用される語「優先語」または「ディスクリプタ(記述子)」と、使用されない語「非優先語」または「非ディスクリプタ(非記述子)」を音順に並べたものである。例えば、『JST科学技術用語シソーラス』では、見出し語として優先語の「感光性高分子」が記述され、その下に、下位語(狭義語)を示す「NT 光重合型樹脂」、上位語(広義語)を示す「BT 感光材料」、関連語を示す「RT 紫外線硬化塗料」がそれぞれ並べられている。また、非優先語である「看護婦」の下には、代わりに使用すべき優先語を示すため、「USE 看護師」と表示されている。

 

Q14. 『日本十進分類法』の細目表の構造について、具体例を挙げながら説明しなさい。⇒p.123

 細目表は、以下の要素から構成されている:

  • 分類項目…以下の3つからなり、補足するために駐機・参照が付与される場合がある。
    • 分類記号と分類項目名…基本となる構成要素で、分類項目名は分類記号の概念を表す語である。(例:内科学493)
    • 分類小項目と関連分類項目…下位概念や関連概念(例:特定難病:ベーチェット病スモン病.11)
    • 英文項目名…第三次区分までの分類項目及び外国地名、人名、ぶつ植物の科目名言語名に添付される。(例:内科学 internal medicine)
  • 注記・・・分類記号を付与する際に参考となる事項を示す。アスタリスクに続いて示す。
    • 細分注記…分類項目の区分原理を指示する注記(例:8植民地行政 *統治国による地理区分)
    • 限定注記…当該分類項目に含まれる範囲の限定を指示する注記(例:770演劇 *ここには、舞台芸術を収める)
    • 包含注記…分類項目名等に表示されてはいないが、当該分類項目に包含されるものを指示する注記(7学術研究奨励 *ノーベル賞はここに収める)
    • 排除注記…関連はあるが、他の分類項目に収めるものを指示する注記(例:362社会史. 社会体制 *ここには、社会体制肢、社会構造・組織史を収め、一般社会氏は、歴史の下に収める
    • 分散注記…基本的・総合的なもの以外の特定分野に関連し応用されるものは、それぞれの主題の下に分散させることを指示する注記(例:027特殊目録 *特定主題に関するものは、各首題の下に収める)
    • 別法注記…別の分類方法を指示する注記(例:678貿易 *別法:9)
  • 参照…分類項目間の横断的関係について、一方の項目から他方の項目へ、また相互に参照を付すことによって関係を指示している。
    • 「をみよ」参照…通常選択すべき分類項目を示す(例:13図書館職員の倫理 →013.1)
    • 「をもみよ」参照…当該主題に関する別の観点の分類項目を示す(例:6犬 →:489.56)
  • 注参照…排除注記の機能を「をみよ」参照の形式で示す。また、関連する分類項目を「をもみよ」参照の形式で示す。(例:①2産業財産権 *著作権→021.2 ②431.7電気化学 *電気泳動→:433.4)

 

Q15. 所在記号と分類記号について、それぞれの特徴が分かるように概要を述べてください。⇒p.11、137

 所在記号とは、資料の所在を示す所在情報を表示するもので、請求記号とも呼ばれる。所在記号は主に、分類記号と図書記号から成る。所在記号順の排架では、基本的に資料はまず分類記号順に並べられ、次いで同じ分類記号を有するものの間に順序をつけるために図書記号順に並べられる。

 分類記号は、分類項目の基本となる構成要素であり、分類項目名は分類記号の概念を表す名辞である。日本では、ほとんどの公共図書館日本十進分類法(NDC)が使用されており、例えば、内科学の資料は、「493」に分類する。

 所在記号は、「書架分類記号」と「図書記号」および「補助記号」から構成される。

  • 書架分類記号…資料を書架上に主題に基づいて体系的に排架するために付与する。通常は一般分類規定に基づき選択された優先順序の高い書誌分類記号の一つに特殊分類規定を適用し、そのまま転用あるいは簡略化して示す。
  • 図書記号…同一分類記号の資料数が多い場合に、それらをさらにグルーピングするために付与される。受入順記号法、年代順記号法、著者記号法が代表的である。
  • 補助記号…図書記号による資料の個別化をさらに徹底させる場合に使用する。著作記号、巻次記号、版次記号、複本記号等がある。
  • 別置記号…参考図書や郷土資料などを書架分類記号以外の基準によって排架する場合は、別置記号を付与する。

 

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q6~Q10

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<設問>

 

Q6. 主題組織法の概要について述べなさい。⇒p.96

 主題組織法とは、主題検索を実現するための情報資源組織の方法である。

 「主題」とは、資料の中心的な内容であり、主題組織法には、①分類法によって資料検索を可能にする分類法と、②資料の主題を表す語によって検索可能にする件名法の2種類がある。どちらも重要で、場合によって使い分けや併用が必要なため、より効果的な検索を保障する主題組織法においては、両者を意識しなければならない。

一般的に主題組織で対象となる主題には、①単一主題、②複合主題(結合度の強い主題の組み合わせ)、③混合主題(結合度の低い主題の組み合わせ)に分かれており、混合主題は、主題同士の関係を①影響、偏向、③手段、④比較の「相」で分けられる。百科事典など主題が特定しにくい場合は、「形式」によって組織する。

 主題組織は、まずは対象とする資料が何に関して書かれているかを明らかにする「主題分析」を行い、資料の主題を確定する。次に、それに基づいて「索引語」を決定するという「翻訳」作業を行う。その際は、①自然に思いつく語や資料内に現れる語などをそのまま使用する「自然語」を使う「抽出索引法」と、②統制語彙表を活用して「統制語」を付与する「付与索引法」がある。この一連の作業を「主題組織作業(インデクシング)」と呼び、その良し悪しが資料の検索性能に大きな影響を与えることに留意する必要がある。

 そのためにも、主題組織法では、「ファセット分析」を念頭に置く必要がある。「ファセット分析」とは、単一の区分原理で区分された際に生じる区分肢(サブ・ファセット)の集合を示す「ファセット」という考え方に基づいて、ある特定の主題領域を分析することである。どのようなファセットによって構成されるかを決定することによって、 概念(キーワード)の結合(組み合わせる)が確実なものになるので、ファセットを導入することによって、事後結合索引法でも様々な主題もより正確に表現できるようになり、事前結合索引法でも引用順序が一貫するという利点がある。

 

Q7. 索引語として、自然語を付与する場合と統制語を付与する場合それぞれの手順について述べなさい。⇒p.8、99、101、142

 索引語とは、アクセスポイントに採用される語のことで、①自然に思いつく語や資料内に現れる語などをそのまま使用する「自然語」と、②語や記号を人工的に統制する「統制語」が用いられる。

 索引語として自然語を付与する場合は、資料中に出現する語をそのまま採用する場合が多い。それゆえ、例えば同義語である「図書」「書籍」「本」という語が、情報資源組織を行う人と、検索する人とがそれぞれ異なる語を思いついたとき、ミスマッチがおき、検索は失敗となる。しかし、自然語を付与することにより、例えば、携帯電話でなくスマートフォンなど、最新の語を検索する際などには、より高精度の検索結果が期待できることもある。

 一方、索引語として統制語を付与する場合は、まずはその拠り所となる「統制語彙表」が必要になる。主題検索のための統制語彙表としては、語と語の関係性を整理して同義語などのうちどの語を用いるのかを示した「件名標目表」や「シソーラス」、また概念間の関係性を整理して記号化した「分類表」と呼ばれるものが使用されてきた。これにより、同義語などがくまなく検索されるようになり、検索結果の再現率が高くなるという利点がある一方で、前述の「スマートフォン」のように統制語彙表に無い語に無理に「携帯電話」という索引語を付与することになり、検索結果の精度が低くなるという欠点もある。

 

Q8. 事前結合索引法の概要について述べなさい。⇒p.102

 事前結合索引法は、索引語を語順などで並べて求める資料を検索できるようにする索引法である。並び順が検索結果に影響するという点で、順番が影響しない事後結合索引法と異なる。

 事前結合索引法では、どのような順番でキーワードを結合するかという「引用順序」が重要な問題で、先に示された主題要素が優先的に検索結果に反映される。

 例えば、「生徒の教師に対する態度」を検索する場合には、「生徒-教師-態度」の順で並べると、生徒に関する資料とみなされ、「教師-生徒-態度」の順で並べると、教師に関する資料とみなされるのである。

 つまり、事前結合索引法では、検索欲求が生じる前にすでにキーワードが結合されており、事後結合索引法では、検索欲求が生じた後に「and」、「not」、「or」を使用してキーワードを結合するのである。

 インターネットの検索エンジンでよく使われる並び順不問の事後結合索引法では、余分な資料まで検索されてしまうことが多いので、検索結果の精度を高めるには、事前結合索引法の方が優れていると言える。

 

Q9. ファセット分析は何に使われるのか、具体的に図書館業務を想定して述べなさい。⇒p.105、113

 検索の際に、ファセットという考え方に基づいて、ある特定の主題領域を分析することを「ファセット分析」と言い、どのようなファセットによって構成されるかを決定することによって、 概念(キーワード)の結合(組み合わせる)が確実なものになる。

 ファセットとは、単一の区分原理で区分された際に生じる区分肢(サブ・ファセット)の集合を示し、例えば「教育」を「教科目」という区分原理で区分すると、「数学」「英語」「国語」などがファセットを構成する区分肢となり、「教育機材」という区分原理で区分すると、「教科書」「コンピュータ」などが区分肢となる。通常は一つの分類対象に対してファセットは複数設定される。

 ファセット分析を活用して実際の図書館業務で、例えば「コンピュータを使った数学の演習」をする際、

  • 教科目:数学
  • 教授法:演習
  • 教育機材:コンピュータ

というファセット分析をすることによって、コンピュータが教科でなく手段であることが明示されることになり、検索結果の精度が高められる。

 つまり、ファセットを導入することによって、事後結合索引法でも様々な主題もより正確に表現できるようになり、事前結合索引法でも引用順序が一貫するという利点がある。

 

Q10. 区分の3要素について、各要素についての概要がわかるように具体例を挙げながら述べなさい。⇒p.109

 区分の3要素とは、以下の3つである:

  ①区分原理(区分特性)…区分を行う際の一定の原則・基準

  ②非区分体(類概念)…区分される対象

  ③区分肢(主概念)…区分された各部分

 例えば、ジュースという非区分対に、材料と言う区分原理を適用した場合、オレンジジュース、アップルジュース、人参ジュースなどの区分肢が得られる。

 

情報資源組織論 科目終末テスト(回答例)Q1~Q5

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<回答例>

Q1. 情報資源組織の意義を他のサービスとの関係を示しながら論じなさい。⇒p.2

 情報資源組織は、利用者や図書館員が求める資料を検索可能にするという点で、図書館にとって根本的、本質的なものと言える。

 閲覧や貸し出し、レファレンスサービスなどは、利用者に対する直接的なサービスとみなされ、「利用者サービス」「直接サービス」と呼ばれる一方、情報資源組織は、技術的・間接的なサービスとみなされ、「テクニカル・サービス」や「間接サービス」と呼ばれる。テクニカル・サービスにはほかに、選書や受入れ・廃棄などコレクションの構築維持管理に関する業務も含まれる。

 情報化が進む近年、自身の求める情報を探し出すことは益々困難になっている。それを解決するために、図書館では、各種利用者サービスを提供し、利用者の「情報検索」や「資料検索」を容易にするよう努力している。

 しかし、利用者サービスを提供するには、まずは情報に秩序や構造を与えて検索できるようにする仕組みを構築することが不可欠であり、それが「情報資源組織」なのである。

 

Q2. 未知資料検索の検索に用いる評価指標について概要を述べなさい。⇒p.4、21、100、106

 資料が特定されていないときに行われる検索を「未知資料検索」と言い、大別すると①ある著者の何らかの資料の検索、②主題検索の2つに分けられ、その評価は、①再現率、②精度という点からなされることが多い。

 未知資料検索は、「特定の著者の著作」や「特定の主題の資料」等について、網羅的に、または代表的なものを調べる検索であるため、検索結果は、利用者の求める条件に合う資料(適合資料)の「集合」になる。特定の著者の資料について検索する場合は、「著者」がアクセスポイントとして採用され、資料の中心的な内容である特定の主題について検索する場合は、「主題」がアクセスポイントとして採用され、分類や、主題を表す語(件名)によって検索する。

 検索目的がどの程度の有効性を持って達成されたかの度合いを測る「検索パフォーマンス」は、指標として、①適合性、②応答時間、③費用があるが、情報検索システムのレベル等によって決定される②③を除き、未知資料検索については、適合性の①再現率、②精度(適合率)により評価される。また、①検索して得た適合資料の潜在的に存在するものも含めたすべての適合資料に対する割合が高い、つまり資料の漏れが少ない「高再現率」と、②検索した資料全体に対する検索して得た適合資料の割合が高い、つまりノイズが少ない「高精度」は逆方向に動くと言われているが、検索する際の検索語を適切に選ぶことにより、高評価の検索ができるようになる。

 なお、適合資料をどれだけ適切に集められたか、という意味で、目録において未知資料検索に対応した機能を「集中機能」と呼ぶが、多くの目録規則は、「著者」と「主題」のアクセスポイントから検索条件に合う資料を網羅的に一覧できるように設計されている。

 

Q3. 主題とは何か、情報資源組織の中ではどういった役割を担っているのか述べなさい。⇒p.4、6、96、100

 「主題」とは、資料の中心的な内容であり、図書館では、①分類や、②主題を表す語(件名)によって主題検索が可能な形で情報資源組織が行われてきた。

 現在の情報化社会では、「ある特定の主題について情報を得たい」という主題検索欲求が多様化・多量化しており、主題検索を実現するために「主題組織法」という情報資源組織の方法がますます重要になっている。

 例えば、一般的には、「書架分類法」は主題検索を可能にするためのものであり、図書館の資料は、主題に基づいて資料を「分類順(所在記号順)」に排架されている。利用者は、主題が階層的に並んでいる書架をブラウジングすることによって、比較的容易に目的の主題の資料群にたどり着き、また思いがけず別の資料に興味を持つこともできる。

 また、書架分類法の弱点である、「資料そのものが目に入らない場合は検索できない」ことや、「複数の主題の資料を1分野にしか排架できない」ことなどをカバーするため、様々なアクセスポイントを必要な数だけ付与できる「目録法」においても、多くの目録規則は、「著者」と「主題」のアクセスポイントから検索条件に合う資料を網羅的に一覧できるように設計されており、特に未知資料の検索においては、著者と並んで主題の検索機能が非常によく使われている。

 

Q4. 索引と目録それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒目録:p.7、16 / 索引:p.12、180

 索引は、図書館の所蔵資料かどうかにとらわれない情報資源組織の成果物であり、雑誌や新聞に掲載された記事一つ一つを検索可能にする「雑誌記事索引」や「新聞記事索引」がそれにあたる。索引では、記事一つ一つのレベルで書誌情報が組織され、データベース化もしくは冊子化されている。また、狭義では、書籍の巻末につけられている索引にゃ記事検索ツールのレコードに付与される索引語などを示し、「主題検索」とも呼ばれる。

 目録は、図書館の所蔵資料情報を対象とし、ある資料を検索するのに必要とされるすべてのアクセスポイント(タイトル、著者、主題)を必要な数だけ付与できるものである。資料そのものでなく資料情報を対象にするので、資料が閲覧中でも貸し出し中でも、開架でも閉架でも関係なく、図書館が所蔵するすべての資料が目録によって検索可能となる。

目録は、「記述」「アクセスポイント」「所在記号」を主要要素とする情報の集積体と言える。このうち前2者をまとめて「書誌情報」と言い、3者をまとめて「書誌的記録」と呼ぶ。

 広義の索引(記事・新聞索引)と目録との違いは、索引は雑誌や新聞の中の記事一つ一つを探し出せるもので、目録は、図書や雑誌などを一冊もしくは一種などの単位で探し出せるものである。

 

Q5. 書誌単位と物理単位の違いについて、1冊の図書を想定して述べなさい。⇒p.43

 日本では、『日本目録規則1987年版』(NCR1987)が現行標準目録規則であり、前版である「新版予備版」(1977)が物理単位を記述対象としていたのを改め、書誌単位を記述対象としている。

 NCR1987では、「全体とそれを構成する部分という上位と下位の階層構造」を「書誌階層」と呼ぶ。書誌階層はいくつかの「書誌レベル」からなり、最も基礎的な基礎書誌レベルとその上位・下位レベルを設定できるとされている。

 例えば、叢書「講座日本語と日本語教育」を例にすると、『講座日本語と日本語教育』のシリーズそのものに対する記述が集合書誌単位(集合レベル)で、そのうち13~14巻からなる『日本語教育教授法』が単行書誌単位(単行レベル)である。そのうち、上巻である13巻が物理単位となる。「新版予備版」(1977)では、複数から成るものは常に一冊ずつ記述対象にしていたので、物理単位である13巻(上巻)を記述対象としていたのに対し、NCR1987では、固有のタイトルが与えられた範囲である13~14巻を「書誌単位」とみなしており、実際に記述を作成する場合には、単行レベルを基礎として作成を行うこととなる。

 

情報資源組織論 科目終末テスト(設問)

※設問の後ろのページ数は2018年度版テキストでの回答に使った参考ページです

※テスト課題は添削されていないので不正解の可能性もあります。あくまでも回答例です

※自分の勉強用にまとめただけのものなので誤字脱字あります 

 

<設問>

Q1. 情報資源組織の意義を他のサービスとの関係を示しながら論じなさい。⇒p.2

Q2. 未知資料検索の検索に用いる評価指標について概要を述べなさい。⇒p.4、21、100、106

Q3. 主題とは何か、情報資源組織の中ではどういった役割を担っているのか述べなさい。⇒p.4、6、96、100

Q4. 索引と目録それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒目録:p.7、16 / 索引:p.12、180

Q5. 書誌単位と物理単位の違いについて、1冊の図書を想定して述べなさい。⇒p.43

Q6. 主題組織法の概要について述べなさい。⇒p.96

Q7. 索引語として、自然語を付与する場合と統制語を付与する場合それぞれの手順について述べなさい。⇒p.8、99、101、142

Q8. 事前結合索引法の概要について述べなさい。⇒p.102

Q9. ファセット分析は何に使われるのか、具体的に図書館業務を想定して述べなさい。⇒p.105、113

Q10. 区分の3要素について、各要素についての概要がわかるように具体例を挙げながら述べなさい。⇒p.109

Q11. 『日本十進分類法』と『基本件名標目表』それぞれについて概要を述べた後、違いについて述べなさい。⇒p.118、157

Q12. 分類規定の概要について述べるとともに具体例を挙げて詳しく述べなさい。⇒p.131、137

Q13. シソーラスの概要について述べなさい。⇒p.150

Q14. 『日本十進分類法』の細目表の構造について、具体例を挙げながら説明しなさい。⇒p.123

Q15. 所在記号と分類記号について、それぞれの特徴が分かるように概要を述べてください。⇒p.11、137

Q16. OPAC(Web OPAC)とカード目録を比較し、それぞれのメリットとデメリットについて論じなさい。⇒p.19、22

Q17. MARCの概要について述べなさい。⇒p.70、174

Q18. ダブリン・コアの基本エレメントについて、具体例を挙げて説明しなさい。⇒p.80

Q19. 『日本全国書誌』の概要と問題点について述べなさい。⇒p..70、170、172

Q20. IFLAの書誌コントロール活動について述べなさい。⇒p.171

 

 

 【感想など】

嫌いではないものの、慣れないとちょっと大変な科目。レポートもテスト勉強もテキストの上っ面をなぞるだけになってしまいがちで、回答を作ったもののいまいちだなーと自分でも感じていました。

先にとりあえずレポートだけ出して、演習を受けてからテストを受ける流れの方がきちんと理解したうえでテストに臨めたと思います。